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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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あやめに対しての疑問

 「は!?」


 「え!?これってこの時代のお金ですよね!?妹さんが待ってるのですよね!?正直この時代のお金は使い道がないので貰ってください!その方が有効活用できるし一石二鳥ですよ!」


 「いやそんな・・・」


 「これがいくらの価値で何ができるかは分からないですけどご飯くらいは食べれるでしょ!?明後日にはお米や砂糖なんかも少量ですが持ってきますよ!バイト先にも売ってるし社員割引が使えるから大丈夫すよ!」


 「言ってる事がイマイチ分からないのですが・・・」


 オレはおかしくなったのだろうか。ここまで色々貢ぐ君になってもちっとも靡いてくれないものなのか・・・。女は魔性だ。


 「とにかく重たいけどどうにかして貰ってください!」


 「何故・・・何故そこまで私に良くしてくれるのでしょうか?先程の草と呼ばれるのも注意されたみたいですし・・・」


 「え!?だって草とか嫌じゃない!?名前があるでしょ!?あやめさんって?中々未来ではあやめって名前少ないですし新鮮な感じがしてオレは好きすよ!?あっ、今のはそういう意味ではなく名前の・・・すいません。調子乗りました」


 「(クスッ)変わった殿方様ですね。私は合田様の事を聞いておりません。未来とか言われていますがイマイチどころかまったく見当がつきません」


 「そうだったんだ。まあかなり端折るけどそのままだよ。池田様の部屋にオレの未来のとある部屋・・・便所と繋がり行き来できるんだ。未来は物で溢れているんです」


 「そんな!?まさか!?そんな事がありえるのですか!?」


 「いやまぁ・・・実際オレも来てますし。ってか織田様帰るの遅いすね。今日は自分の家に戻ります。明日以降はまた暫く夜しか来れません。というかオレが来る意味があるのか疑問ですけど」


 「いえそんな、合田様が来られるのは必須でございます!」


 「そうかな?だって織田様もオレを放って遠乗り?ってのに出掛けたのでしょう?未来の事あれこれ聞かれ、織田家の今後の事など色々聞かれるかと思えばそうでもないみたいですし」


 「と、とにかく!大殿様には明日は夜に来訪されると伝えておきます!」


 「分かりました!ではよろしくお願いします。薬使ってくださいね?チョコバーは袋開けて食べるだけだから!甘くて美味しいですよ!レトルトのカレーは湯で温めて米にかけて食べるだけだから!」


 「はい!かれーなる物は温めて米にかける……ちよこばあなる物は袋開けて食べる……」


 なんか可愛いな。完璧に貢ぐ君になってしまいそうだ。


 オレは池田さんの部屋の例のドアから帰ろうとしたがその時あやめさんが思い出したかのように喋った。


 「お召し物をお忘れです!!」


 そう言ってドアの向こうに居るオレに洗ってくれただろうと思う服・・・Tシャツとジーパンだがそれを渡してくれた。


 「ありがとうございます!じゃあ!」


 「はい!失礼します!」


 あやめさんは深々と頭を下げて見送ってくれた。今の事象をまったく疑問に思ってなかったようだがオレは疑問に思う事がある。


 「今、明らかに手はこちら側に出てたよな!?ばあちゃん!?そうだよね!?」


 ばあちゃんは相変わらず微笑んでいるように見える。


 あやめさんはこちら側に来れるのか!?来れる人と来れない人ってのがあるのか!?分からん!マジで分からん!ただ一つ言える事は・・・あやめさんが喜ぶ事ができたと思う!少しだけ、ほんの少しだけお近づきになれたかもしれない!


 

 次の日久しぶりのバイトだ。


 「おはようございます。おはようございます。おはようございます」


 みんなに挨拶してタイムカードを押す。そしてみんなのABCのヌシ。バイトリーダーの田中さんも出勤だ。ただなんか右の頬っぺが赤くなってるんだけど・・・。


 「田中さんおはようございます」


 「武蔵君か。あぁおはよう。はぁ〜・・・」


 このわざとらしい溜め息・・・


 「どうされたのですか?」


 「いや実は・・・なんでもない。武蔵君には分からない世界だよ」


 なんなんだよ!?心配して聞いてあげたのに!もういいわ!


 「何かわかりませんが気をつけてください」


 この日田中さんはオレとすれ違う度に溜め息をしていたがオレは敢えて聞かなかった。オレには分からない世界の事らしいからな。


 そして今日・・・意を決して閉店間際に60歳くらいのパートのおばちゃんの葛城さんに聞いてみたい事があり声を掛けた。この葛城さんは不慣れなオレに、作業違いの事でも優しく教えてくれる人だ。やたら声が大きくよく笑うおばちゃんだ。


 「あら?合田君?どうしたの?」


 「えっと・・・いきなりなのですが今日給料日ですよね。だからーー」


 「分かった!お金貸してでしょ!?だめよ?お金の貸し借りはーー」


 「違います!!」


 こうやってまだ知り合って1ヶ月足らずだがオレが普通に喋れる女性だ。母ちゃんの次に喋る人かもしれない。


 「ごめんごめん!それでどうしたの?」


 「実はとある女性にプレゼントしたいなと思いまして・・・いやアクセサリーとかそんな物じゃなくーー」


 《連絡します!連絡します!3番通路 合田武蔵君に春が来ました》


 やりやがった・・・このおばちゃん・・・。閉店間際で客はもう居ないけどマイクで言いやがった!


 「どどどどういう事かね!?武蔵君!武蔵君はそんな子ではなく僕の仲間だと思っていたんだよ!?」


 「い、いや田中さん!落ち着いてください!」


 「お!武蔵君!おめでとう!けど葛城さんに自慢するのは間違いかな?若いっていいね!青春だなぁ!」


 「店長・・・違うのです!」


 「いいさ!いいさ!若いうちは遊んでおかないと後悔するぞ?」


 こんな優しい人達だが茶化されてるのか分からない時もある。


 「それで何をプレゼントするかって事かしら?」


 「えっと・・・はい。できれば今日会うと思うのでこのお店で喜ぶ物が良いかな?と思っています」


 「え!?ここのお店!?ご飯でも食べに行けばいいんじゃないの?」


 「まだそこまで仲良くなってないというかなんというか・・・」


 「あ!?片思いって事かしら!?どこの人?同級生だった子?名前は?」


 これだ。やはり聞く人間違えたかもしれない・・・。


 「こんな時こそバイトリーダーの僕に聞いてくれたまえ!女性が喜ぶ物はみんなのABCにもある!」


 「え!?田中君?確かにあなたはここの事詳しいけどーー」


 「葛城さんは黙ってください!ここは僕に任せて!!」


 自称女性に詳しく、かつては彼女が途切れた事もなく学生時代にはバレンタインの日には紙袋二つ貰ったと言う田中さんに任せる事にした。少なくともオレよりは詳しいはずだ!



 帰りに少し後悔した・・・。あんな張り切った田中さん見た事がなく言われるままの物を全て購入したら1ヶ月のバイト代の3分の1を使ってしまった。


 正確には米や砂糖やお菓子なんかも購入してしまったからだけど・・・。


 「ばあちゃん!じいちゃん!ただいま!」


 「「・・・・・・」」


 「うん!いつもの独り言だ!ばあちゃん?ばあちゃんはじいちゃんから包丁貰ったら喜ぶ?ハンドタオル貰ったら喜ぶ?湯呑みセットとか嬉しい?」


 もちろん答えなんか返って来ないと知っている。けど最早ばあちゃんの写真に問いかけるのが日課となっている。ばあちゃんは変わらず微笑んでくれている気がする。じいちゃんは・・・無表情に見える。


 「じいちゃん!こえぇーよ!!風呂入って行ってくるから!あっ!初任給じゃないけど今日給料日だったんだ!お菓子とジュース置いておくから食べて飲んでね!」


 オレは2人の遺影の下に実家から持ってきたテーブルを置き、若かった頃のじいちゃんばあちゃんの写真を立てかけてお供えした。写真の2人は仲良さそうだ。



 よし!荷物も持ったし、少しだけ行こうかな!


 そしてトイレのドアを開けて戦国時代に向かう。


 ドゴンッ


 「遅い!いつまで待たせる気だ!来い!」


 入った瞬間殴られました。

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