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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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例え卑怯と言われようとも

 「なんとしても殿の元へッッ!!!全軍ッ!奮起せよッッ!!!」


 本多さんの激にて再び開戦の狼煙が上げられた。だが、この先程より反転した戦いは組織的な動きのそれではなかった。


 総大将は家康さんだが、この局地的な一言坂の総大将は本多さんだ。その本多さんが素人のオレでも分かるやっちゃダメな突撃を始めた。


 「よしッ!!鹿頭めが!掛かったぞ!今じゃ!撒菱ばら撒けッ!!効果はこいつらが出したもので我が軍で証明されておる!」


 撒菱・・・忍者のあれか!?


 本多隊の後方にてオレはその状況を見ていた。オレが出した有刺鉄線とは全然違うが、棘のあるなにかを確かに馬場隊はばら撒いた。


 「ぐぬぬ・・・構わぬッ!多少の損害は気にするな!突撃ッ!!!」


 「あっ!本多様!!だめだ!!」


 思わずオレは叫んだ。だが時既に遅し・・・。


 「がははは!武蔵もさすがに戦のいの字くらいは分かってきたか!?本多を失えば負けぞ!さぁ!号令を出せ!俺達も出るぞ!」


 「慶次さん・・・スゥ〜・・・鉄砲隊!!馬場隊に向かって斉射ッ!!撃てぇ〜!!!」


 パンパンパンパンパンパンパンパン


 ズドン ズドン


 「馬場様!弾除けの竹を何発か貫通しているものがあります!」


 「う〜む。少し違う鉄砲があるようだな。欲しいな。弾除けの竹にワシの甲冑を巻け!さすがにそれは貫通せんだろう。確か連射していたと言っていたな?ワシ自らあの織田の旗印の隊を狩り取ってやろう」


 「はっ。露払いは我等に」


 「うむ。松浦!ここは頼んだぞ。時間を掛けてもよい。直にお屋形様の隊も到着して挟んで詰みじゃ。絶対にここを抜かすでないぞ!」


 「はっ!」



 「クソッ!!少ししか倒れていない!!弾込め急いでください!!慶次さんは出てはだめです!」


 「おい!武蔵!何人かこちらに向かってくるぞ!」


 オレはビックリした。まさか鉄砲を目の前に出てくる馬鹿が居るのかと疑ってしまったが、自分でもそれを見た。


 「ほほほ。敵も考えたようですな。弾除けの竹筒に甲冑まで巻いていますか。敵は我等の方が脅威と見做したようですな」


 「いやいや竹中様はなんで落ち着いてるのですか!?ヤバイヤバイ!」


 「はて?何故でしょうな?私はこの戦、勝てると思っていましてね?何故か知りませんが分かるのですよ。たまにこういう事がありましてね?」


 「はい!?」


 「私の勘が外れようが恨む事はしませんよ。死なば諸共・・・さぁ。合田武蔵殿?あなたの武を存分にお見せなさい!」


 竹中さんは急にどうしたんだよ!?オレを信じるって・・・オレはマジで戦の素人だぞ!?


 「武蔵様・・・私も信じます!弾込め・・・終わりましたよ」


 「あやめさん!!みんな!!この戦勝ちますよ!!馬場信春の首!!取るぞッ!!!!」


 「「「オォーーーー!!」」」


 

 「おい!小川!なんで笑っておるのだ?」


 「がはは!これを面白くなくして何が面白い!これでこそ我が殿と言えるのに相応しい!そう思わぬか?」


 「いや確かに仕えていいとは言ってくれたがまさかこんな負け戦になるとはな・・・」


 「ぬしは逃げるのか?」


 「・・・・・お前は?」


 「ワシは逃げん!日陰生活も終いじゃ!誰かに仕えるのは御免と思うておったがこの方なら仕えていいと思う。こんな気持ちは初めてじゃ!必ず我が殿と言ってみせる!慶次が言う山先という酒も飲んでみたいしのう?すきやきと申す食べ物やぴざというものも食べてみたい!」


 「ケッ。食い物や酒のためかよ!」


 「それのどこが悪い!あやめに聞けば合田家ではひもじい生活はしたらいかんそうだぞ?好きな時に好きなだけ食べて湯浴みも毎日しろと言われるらしいぞ?それをただでだ!きっと我等にも施しをしてくれる方だ!命を懸けるのに相応しい!」


 「いや、どうせ窮地になれば我等を使い捨てるに違いない。武士とはそういうものではないか。六角だってそうだった。信濃の奴等も伊勢の武士もみんなそうだった。無事に生かしても感謝すらしてこぬ愚か者ばかりじゃ」


 「ならば逃げるがよい。ワシはもう逃げん」


 「クッソ!!弾が無くなった!!みんな!!接近戦用意!!抜剣!!!甲賀隊のみんな!もしオレが死んだら約束のケーキとか鍋とか食べさせてあげられないけどすいません!岐阜の家にレトルト食品と酒がかなりあると思うから伊織さんにでも言ってそれで勘弁してください!小川さん!?何で笑ってるんですか!?変態ですか!?」


 「がははは!面白い!いや実に面白い!我が殿!!!ワシの後ろに!あなたは絶対に死なせませんぞ!!」


 「小川・・・お前・・・甲賀出身の者!!全員殿の前に!!殿を守れ!!」


 「ほほほ。まさか乱波、透波の者達を心から従えさせるとは天晴れですな。これだからあなたは面白い!」


 「竹中様!?これは・・・」


 「誇りなさい!あなたも立派な武士ですよ?見てみなさい。私より分厚い盾が出来上がりましたよ。重矩!竹中家に恥じぬ戦いを!」


 「兄者・・・畏まりました!竹中隊!殿の前へ!」


 こんな時だが思う。あの人が竹中半兵衛さんの弟の竹中重矩さんかと。全然似てないけど。


 まさかマジで弾が無くなるまで撃つとは思わなかった。後は刀の勝負か・・・毎朝素振りはしてたけど・・・


 「死ねやッ!!!」 「うりゃ!」


  スカッ  ズシャンッ!


 「おい!武蔵!感傷に浸っている時間はないぞ!」


 「わ、分かってます!」


 「馬場隊!敵の鉄砲は弾がなくなった!これより狩りの時間だ!殺れッッ!!!!」


 「貴様!!」「我が殿に刃が届くと思うなよ!!」


 「うりゃっ!!」


 これぞ合戦と言えるような接近戦を初めて目の当たりにした。


 オレも微力ながら縦に振り抜く事だけをしている。

斬るという事は難しい。信長さんから借りているそこそこの名刀らしいが宝の持ち腐れもいいところだろう。


 馬場隊の名も知らない誰かの腕を斬った。実に変な感触だ。肉を切った時とは違う斬る感覚だ。


 「武蔵様!危ない!!」


 グスッ


 「あ、危なかった・・・あやめさん!ありがとう!」


 「はい!最後まで油断しないように!確実に息の根を止めましょう!それと・・・実は後1発だけ弾が残っています。確か武蔵様のレミントン銃も12ゲージの弾で同じでしたよね?」


 あやめさんからこの時代に似合わない言葉で戦局を変える事を言われた。


 「あやめさん・・・」


 「お渡ししておきます。もしもの時のためにと残しておいた弾です。私の命も武蔵様に預けます」


 敵は油断して接近している・・・例え卑怯と言われてもオレは気にしない。戦国時代の人間じゃないから。


 馬場信春を倒せばこの戦は勝ちだ。本多さん!小川さん!慶次さん!竹中さん!そして・・・あやめさん!絶対に勝つぞ!!

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