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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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見付 撤退戦

 全員が足並みを揃えて2キロ程後方に戻る。突発的に行った行動だが実に効果があっただろうと思う。無我夢中でオレはレミントンを撃ったわけだが、敵は可哀想とは思うがオレだけで5人は倒したと思う。


 すると、既に浜松城に行ったかと思った見付の町の住民らしき人達から声を掛けられた。


 「お武家様、武田軍が攻めてこられたのですか!?」


 「うん?お主等は何故ここに留まっている!?ここは直に戦場となるゆえ、はよう浜松城へ行け!身分関係なく匿うように通達してあっただろうが!」


 本多さんが口調厳しくも領民の事を思い言っていた。


 「はい・・ですが、足の悪い母親が居りまして・・中々・・・」


 「そうか。それは気付かなんだ。太郎左!この者の家族を今の内に浜松へ運んでやれ!」


 「あ、あのう・・・」


 「なんだ?」


 一連の事をオレ達織田軍は黙って聞いていたわけだが、最初の女性がその事を言うと20人程の人達が現れた。


 見事に全員女性だ。男性はやはり戦に駆り出されているのか・・・。


 「えぇい!煩わしい!これでこの村の居残りは全てか!?」


 「は、はい!」


 「おい!金平!お前の隊でこの者達を連れて行け!ここで我等は第二陣を食い止める!」


 「殿!いくらなんでもあんまりです!俺もーー」


 「ならぬ!徳川の領民を守らず何が武士か!確実に浜松へ送り届けよ!いいな!」


 「あのう・・・」


 「なんだ?まだなにかあるのか!?ん!?」


 いやいや威圧感出すなよ!?やってる事、言ってる事は男前だけど聞き返しが怖いんだけど!?あぁ〜あ・・・あの女の人ビビってるじゃん・・・。


 「こ、こ、ここ・・・み、見付にまで敵は・・・くるのでしょうか!?」


 「すまぬ。守り抜きたいところだが敵は必ず来る。今しがた殿もここを経ったはずだ」


 「い、いえ!家を焼けば少しでも敵の歩みを遅くさせる事ができますか!?」


 「うん?」


 「ヒッヒィ〜!大それた事を申しすいまーー」


 「おい!女!今なんと言った!?」


 「は、は、はい!家を焼いて煙を出せばーー」


 「おい!皆の衆!お主達は家が焼かれても恨まないか!?」


 普通の人もやはり戦国の人達だ。いくら敵が来てると言っても自分の家を燃やして足留めさせる事を考えられるとは天晴れだ。


 ここはオレの出番かな。


 「本多様?武田を追い返した暁には織田軍 合田武蔵このオレが領民の家を再建する事を手伝うと約束しましょう。オレの殿がダメだと言ってもどうにかします」


 「そうか・・・。おい!見付の領民!お主等の心意気に感謝致す!お主等の家を燃やしてしまうが時間は掛かるやもしれぬが必ず建て直すよう、この本多平八郎忠勝が約束致す!」


 やっぱ本多さんカッコいいわ。50数回、戦に出て傷一つ負わなかった人だったよな。オレもこんな人みたいになりたいな。



 それから金平という本多さんの与力の部隊が領民を連れて浜松へ向かった。オレ達はその領民の家を燃やす事にした。煙に紛れてオレ達も浜松へ帰らないと行けないからだ。


 その燃やす行動にとあるチートアイテムがある。


 「ふむふむ。そのらいたーなる物は凄いな。火種隊が必要ないではないか」


 「そうなんですよ!小さいのでなくさないようにしてくださいね?特段高価な物ではありませんが敵に取られたくはないので!」


 「ふむ!任されたし!おーい!又五郎!お前が我が隊の火点け役だ!ちゃんと合田殿に使い方を聞いておけ!」


 竹中さんや、小川さん、小泉さん達が見張る中オレは現代でそこそこ購入した100円ライターの使い方を教えた。火はなにかしら役に立つと思い、10個程だが持って来ていたのだ。そのライター7個を本多隊の人に。


 残りはオレとあやめさんと慶次さんだ。


 「よし!今の内だ!燃やせ!燃やせ!」


 元々木材でできた、あばら屋・・・まぁ燃える燃える。着火剤なんか無くても簡単に火は上がった。


 10分もしない内に辺りは火が上がったためオレ達はできるだけ下がる事にした。


 そして、来る時はオレ達は少数だったから気にもしなかったが、天竜川で少し渋滞が起こっていた。浅瀬を渡ってオレ達は来たわけだが、家康さんの隊はそれなりに多い。


 渡るのに手間取っている。


 「竹中様大丈夫ですかね?」


 「ほほほ。私が敵の将ならば確実に本多殿はこの地で討ちたいですな。だからとにかく進軍を早めるでしょうな。ですが、あの煙の中迷わずに来るのは中々でしょう」


 「バカ!押すな!横はすぐに深いーーうっ・・・うわぁ〜!!」


 「1人流されたぞ!助けろ!」


 「紐を掴め!!」


 「ふっ、ふぅ〜!すまん!助かった!」



 「はぁ〜・・・。これはもう一波乱あるやもしれませんね」


 この徳川本隊の人達の出来事を見て竹中さんはそう呟いた。


 「ご、ご、御報告ッッ!!!」


 「どうした!?もう見付を突破して来たのか!?」


 「は、はい!敵の進軍止まらずこちらへ向かって来ております!」


 「チッ。さすが馬場信春隊と言ったところか・・・。このまま浜松へは戻らせてはくれぬと見る。もう一当て致す。本多隊!今一度奮起せよッ!!」


 「ほほほ。そう来ましたか。やはり天は合田殿が手柄を取れと言うておるようですな」


 いやいや何わけ分からない事言ってんだよ!?


 「本多殿。ワシも微力ながら手伝おう」


 「うむ!大久保殿!相すまぬ。合田殿?もう少し手伝ってくれるな?」


 「は、はい!そのつもりです!」


 本当は早く浜松へ帰りたいです!と言いたいけど少しでも武田の兵を減らさないと本当に地獄だからな。オレももう少し頑張ろうか。


 「よぉ〜し!敵は多い!我等は寡兵だ!多勢に無勢では負けが見える!だが我等は飽くまで勝つ!なんとしても殿を浜松へ送り届ける!多対一になる状況はいかん!大軍が細長くなる場所はどこか!?その場は、一言坂である!一言坂で敵を迎え撃つ!坂の下は不利だがその状況を逆手に取り、有利な状況に致す!」


 いやいや今分かった事だけどこれが一言坂の戦いかよ!?マジか・・・


 「合田殿!先に出した鉄の棘はまだあるか!?」


 「は、はい!まだあります!」


 「よーし!皆の者!我に続けッ!」


 クッソ・・・やるっきゃない!!


 'おい!あやめ?お前の旦那が暴走しないようにちゃんと見ておけよ?'


 '前田様はどうされるのですか?'


 'いや?俺は変わらずあいつの護衛だ。そういう約束だからな。あいつが死ぬなら俺は武蔵より早く地獄に行ってるだろうよ'


 '大丈夫でしょうか・・・'


 'まぁ狂気に呑まれるというより、どちらかといえば状況に呑まれるというのか?まぁどちらにしても俺達も必ず戻るぞ。お前達の祝言に出て山先を貰わなければ割に合わないからな'


 'クスッ!畏まりました'




 〜現代 一ノ瀬有沙実家〜


 「お母さん!ただいま!里志連れて来たよ!」


 「失礼します!」


 「あら?いらっしゃい!まぁ!?有沙にしては男前な彼氏さんね!さぁ!上がって!上がって!」


 「え、あ、は、はい!ありがとうございます」


 

 「へぇ〜?大学で知り合ったのね!うちの子が悪いわね?漆原君の、お家にも泊まらせてもらったみたいね」


 「いえいえ。僕の母親も喜んでました。有沙さんを泣かせる事があれば親子の縁を切るとまで言われまして・・・ははは!」


 「とにかく!今日は里志に泊まってもらうけどいいでしょう?」


 「いいわよ!ちゃんとお父さんにも報告するのよ!」



 「よし!お父さんにもお線香もして報告もしたし!部屋に行こう!」


 「あ、あぁ。それにしてもお母さんと有沙は似てるな」


 「うん?そりゃあお母さんだもん!」


 

 「ここよ!里志見て!押し入れのここ!ね?合田君のとこのお札と同じでしょう?」


 「本当だ!もしかしてここも戦国に通じてーー」


 ピカーーーーーーーーーーーンッ


 「な、なに!?有沙!?」


 「里志!?なに!?急に光が・・・あ、あれ!?あれって合田君のお爺ちゃんとお婆ちゃんじゃない!?」


 「うん!?あっ!本当だ!ここはどこなんだ!?」



 「クッ・・・やはり扉は開いてしまったか・・・」


 「だ、誰!?」


 「おい!クソヘボ陰陽師!なーにが『私のお札は効力が続く』だ!ほれみろ!武蔵の学友まで目覚めちまったじゃないか!」


 「いけませんね?私の力が強すぎて影響が出たと言ってほしいですね」


 「あ、あなたは誰!?ここはどこ!?」


 「ここは夢と現実の狭間・・・と言えば分かりますかな?そして私は、安倍晴明と言えば分かりますか?あなたの先祖はずっと私を崇拝してくれていますよ」


 「「あ、安倍晴明!」」


 「嘘だ!?」


 「いや、本当です」


 「がははは!ヘボ陰陽師めが!信用されてないぞ!こりゃ傑作だ!」


 「はぁ〜・・・まぁいいでしょう。あまり時間がありません。単刀直入に・・・扉は開きました。この頑固男の孫を助けてあげなさい」


 「「へ!?」」

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