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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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この時代の一員に

 本多忠勝の激により家康さんは本当に撤退し始めた。


 オレはまだ楽観視していた。何を根拠にしているかは自分でも分からない。だがただなんとなく『どうにかなるだろう』と簡単に思っていた。


 だがそれが嘘のように思う事はすぐだった。



 三箇野台というところに本多さんに着いて行ったわけだが・・・。近付くにつれ、空気が重くなる事に気付いた。


 オレと同じくそれに気が付いたのはあやめさんだ。


 「武蔵様、あまり御無理なさらず。最悪、武蔵様だけは必ず浜松へお連れ致しますので」


 そうだ。オレの命運はあやめさんに掛かっている。なんせ2ケツ中だからだ。


 そして、少し丘の上となっている場所に徳川軍は居た。木原、西島と呼ばれる場所にそれは居た。


 いや・・・居たというより待ち構えられていたような気分だ。


 「ヤバッ!武田多すぎだろ!?」


 思わず出てきた言葉はこれだった。


 「ほほほ。これはこれは少々難しいやもしれませんね。太助!権六!もってきた一ノ瀬嬢の足止めを狭い道に配置してきなさい!」


 「「はっ!」」


 およそ、50キロは超えているだろう有刺鉄線の塊を竹中さん配下の人達に持ってきてもらってたわけだが、どうやら設置までしてくれるらしい。


 「なんだあれは!?」


 「鉄の線か!?」


 「棘があるぞ!?」


 徳川軍・・・正確には本多軍だが、その兵の人達が有刺鉄線を見て驚いている。


 オレが到着してすぐの事だった。


 「竹中殿!合田殿!武田方 馬場隊が整列し始めた!用意致せ!来るぞ!」


 本多さんの声掛けにオレも覚悟を決めないといけないと思う。


 「ほほほ。初陣を終えたばかりの合田殿には荷が重いでしょうがここは踏ん張りましょう。無事に美濃に戻る事ができればお館様からかなりのお褒めの言葉が貰えると思いますよ」

 

 「いやお褒めの言葉なんて欲しく・・・あれ!?」


 今までなら言葉なんて欲しくない。何の価値もない事だと思っていただろう。だけどなんだろう?カッコよく言えばオレも戦国時代の一員になりかけているのだろうか?


 信長さんに褒められたい。信長さんからの感謝の言葉が欲しい。そう思っていた。


 「ほほほ。意識、価値観の違いですな。合田殿は今、良い顔になった。勝てるべもなく、武田軍に擦り傷を。されどその擦り傷は後に腐って切り落とさなければならない傷を負わせますよ。織田軍に告ぐッ!!!敵は武田軍 馬場信春隊ッ!!殿しんがりだからと遠慮するな!手土産を渡そうぞ!」


 「「「「オォォォォーーーーー!!!」」」」


 「さすが竹中殿だ!顔に似合わずよい激だ!武蔵!やるぞ!こうなりゃ馬場の首を取るぞ!」


 昨日まで・・・いや・・・さっきまでのオレならブルっていただろう。だがオレもみんなに充てられたのか込み上げるこの熱い気持ち・・・撤退戦、しかもその殿しんがりだがこれは'勝てる'と思ってしまう程の気持ちの昂りだ。


 


 「馬場様、唐の頭 内藤を見つけました。三箇野台にて本多隊と合流したようです」


 「ふん。お屋形様はあの二人を逃さざるように討ち取れと申された。後は分かるな?敵は寡兵!恐れるべからず!皆の者!まずは本多平八、内藤を討ち取れッ!!」


 「来いッ!来いッ!来いッ!!」


 オレは獲物が罠に掛かるかのような高揚感を味わっていた。


 「いってぇ〜!押すな!なんぞ罠だ!」


 「てめーら!押すな!押すな!足になにか刺さった!」


 「来たッ!!今だ!!皆!各自、斉射!!撃てぇ〜!!!」


 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン


 ズドンッ ズドンッ


 10丁の火縄銃と2丁の現代の銃が火を吐いた。


 「ほほほ!今です!狩り時です!竹中隊!散々に討ち取りなさい!」


 「「「うをぉぉぉぉぉぉ〜!!!」」」


 オレはビックリした。里志君が言ったその通りになったからだ。有刺鉄線で動きが止まった馬場隊・・・その止まったところへ鉄砲を浴びせる。そして、その後ろへは弓とテルミット空き缶爆弾を射る、放り投げる。


 ビシュンッ ビシュンッ ビシュンッ


 ドガンッッッ ドガンッッッ ドガンッッッ


 

 「おぉ〜!さすが織田方の!我等も負けてはおれん!本多隊!我に続けッッ!!!!」


 「ヒッヒィ〜!」グサッ


 「ま、待ってくれーー」ブスッ


 「我こそは本多平八郎忠勝ッッ!!我こそはと思う者はこの首取って手柄とせよ!」


 「か、カッコいい・・・」


 ドスン


 「おい!大将!他人を褒めてどうする!2番放てるぞ!どうするのだ?一応、撤退戦だぞ?あの後方を見てみろ!武田本隊だ!さすがにあの人数は無理だぞ?」


 「あ、あぁ〜慶次さんすいません」


 「ほほほ。見事な号令でしたよ?さて・・・武田方も第二陣が動きそうですね。少し下がりましょうか。あくまでも撤退戦ですよ?合田殿?ゆめゆめ忘れないよう」


 「はい!大丈夫です!」


 「はんっ。どうだかな?さっき斉射する前に呑まれそうになっていたくせによ!まぁいい。それくらい気負いがあったほうがもしかすれば本当に大将首が取れるかもしれんな」



 慶次さんの言った通り・・・この日、戦の第一功はオレとなる事はまだ知らない。超超激闘の末、初めて大幅に歴史の変わる事を成し遂げる事となる。それは1時間程後の事である。


 「よし!頃合いじゃ!織田方も退いておる!本多隊!見付まで下がれ!」


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