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エレーヌを殺したのは誰だ?  作者: 谷島修一
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第37話

 バルバストル、ラバール、ティエールは、砦の中にいた下士官の誘導で馬車を降りた。

 そして、その下士官の後に続いて城壁の上へ続く階段を上っていく。

 城壁の上では、外側の様子を見ている司令官らしき白髪交じりの軍服の男性と、それを護衛するように兵士が数名並ぶように立っていた。

 バルバストルは軍服の男性に声を掛ける。

 「ボネ司令官ですか?」

 声を掛けられたボネはバルバストルたちの方を振り向いた。

「あなたは?」

「わたしは国家保安局のバルバストルと、警察のラバール警部と彼の部下のティエールです」

 ボネは敬礼した。

「私は、ここの指揮を執っているジャン=リュック・ボネです」

「よろしく。で、ザーバーランド軍の状況は?」

 バルバストルが尋ねると、ボネ司令官はザーバーランド軍が燈す松明の群れを指さして言う。

「やや距離を置いて展開しています。数は三千といったところでしょうか、今の所動きはありません」

「そうか」

「この門にたどり着くまで目の前の空堀の橋を渡る必要があります。しかし、こちらは二百名ほどしか兵がいません。もし攻められたら、さほど長い時間は持たないでしょう」

 ラバールが少し体を前に進めて、ボネに話す。

「あの敵の中に、ジャン=ポール・マルセル様が拉致されているのかもしれないのです」

「マルセルというと、外交団の?」

「ええ、城で火災があって、そのすきに拉致されたと思われます」

「城で火災があった話は伝わっています。ボヤ程度だったと聞いてますが」

「はい。火は大きくなっかったんですが、城内の混乱に乗じて犯行に及んだと思われます」

「なるほど」

 ボネは相槌を打った後、少し間をおいて話しを続ける。

「しかし。我々にマルセル様の救出をすることは、現状は不可能です。本隊の到着を待たないと。それに、先ほども言いましたが、わが軍の本隊の到着前に攻め込まれたらそれどころではありません」

 ボネの言葉に、対応策が無く、一同は少し黙り込んでしまった。

 ティエールが思い出したように言う。

「砦の外に、ジョアンヌ・マルローたちがいます、彼女たちが義勇兵として参加したいと言っています」

「ああ」

 ボネが答える。

「彼女は、昨日、駐屯地にやって来てたな」

 ボネはジョアンヌについて少し考える。

 彼女は剣の達人で、戦争中に敵兵を一人で二十名も倒したというのは多くが知る事実である。

 しかし、今、城壁の外に展開しているザーバーランド軍を追う払えるとは到底思えないが、時間稼ぎにはなるだろう。

 場合によっては、撤退するときの殿しんがりとして、捨て駒にすることもできるかもしれない。

「いいだろう」

 ボネはそう言うと、ここにジョアンヌたちを連れて来るように近くにいた兵士に命令した。


 しばらくすると、ジョアンヌ、エレーヌ、トリベールの三人が城壁の上までやってきた。

 ジョアンヌたちはボネに近づく。

「義勇兵として参加したいというのは間違いないな」

 ボネは尋ねた。

「そうだ」

「では、指示を待て」

 ボネがそう言ったところで、近くでザーバーランド軍を監視していた兵士が叫んだ。

「敵が動き出しました!」

「なに?」

 ボネたちが城壁の外へ目をやると、松明がゆっくりと動き出し、近づいてくるのがみえた。

「弓兵と魔術師で迎えうて!」

 ボネが命令を発する。

 そこでジョアンヌが提案する。

「司令官。我々三人で橋の途中で敵の進軍を阻止する」

 ジョアンヌの提案にボネ、バルバストル、ラバール警部は驚いた。

「なんだって?!」

 ボネが叫ぶ。

「たった三人で、あの軍勢を阻止するだと?!」

 ボネの言葉に、エレーヌが説明を始める。

「あの橋は、狭く、一度に多くの兵士は渡れない。なので、二人で十分に阻止できる」

 ボネは少し考えるが、もう敵は迫っている。

 少しでも時間稼ぎで出来るのであれば、構わないと判断した。

「いいだろう」

 ボネは兵士に指示をだし、ジョアンヌたちを城門の外に出すように言った。

「お気を付けて」

 ラバールが3人に声を掛けた。

 兵士とジョアンヌたちは城壁を来た時のように階段で降りていく。

 そして、命令で城門が開かれた。

「本当に、私も行くんですか?!」

 トリベールが少々大声でジョアンヌに尋ねた。

 しかし、トリベールは半信半疑だ。そもそも、彼は治療師で前線に立って戦いをするようなことを全く想定していなかったのだ。

「大丈夫だ。さっき、エレーヌ様と打ち合わせしたとおりに、私たちの後ろで治癒魔術に専念してくれ」

 ジョアンヌが答える。

 エレーヌは、トリベールを落ち着かせようとして言う。

「橋の幅は狭く、敵兵は一度に渡れない。ある程度、敵を討ち取れば、攻めるのを諦めるだろう。だから大丈夫だ」

「本当ですか?」

 トリベールの不安そうな声に、ジョアンヌが叫ぶ。

「ああ! 任せろ、お前のことは私たちが守る!」

 トリベールは、ジョアンヌたちについてきたのを少し後悔しはじめた。

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