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神樹の森の巫女  作者: さすらい人は東を目指す
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洞窟発見

 コテージの北側。木々が生い茂っている大きな林だ。

 「旧道を道なりに歩けば直ぐだ」陽太の言うようにほとんど手入れがされていない荒れた路を進むと、小さな山の裾に鳥居が見えてきた。


 鳥居の下には顔見知りの青年たちがいる。伸介と陽太だ。

「お、祐と遙ちゃんか。他のみんなはどうした?」

「弘信を取り囲んでお喋り」

「なんだと」「許せねえ」憤慨する二人。

「確認するが、俺たちのことは何か言っていたか?」

「早くバーベキューをしたいからさっさと来いとさ」

 二人して泣くまねをした。

「頑張れよ。チャンスはまだあるさ」そう祐は慰める。

「彼女持ちに言われたくねえ」

「上から見やがって」


 祐は、やれやれと肩をすくめてみせる。

「それで大発見ってあの鳥居のことか」


「そんなちゃちなもんじゃねえ」

 伸介が指さす方に、シダや蔦に覆われた深い茂みが見える。所々岩肌見える山の裾だ。そこにもしめ縄もまかれている。


 風で蔦が揺れる。蔦の隙間から真っ黒い空間がちらりと覗く。

「大きな洞穴? 何だろ」

「洞窟っぽいだろ。何かお宝が眠ってそうじゃね?」少し興奮気味の陽太。

「これから探検するんだ。一緒に来いよ?」

「え、待てよ。そこって聖域とかじゃないのか? 何だかおっかないんだけど……」

「ちぇ、ビビりやがって。怖がりだねえ」と強気な伸介。

「この洞窟を使って肝試しをしたいんだ。下見は必要だろ?」やる気満々の陽太。

「ガチでか。罰当たりなやつらだな」祐は弱冠尻込みする。

「何だよ。オッサンくさいヤツだな」鼻で笑う陽太。

 だが、二人とも率先して入ろうとはしない。何だかんだ言っても、鳥居としめ縄があると、日本人ならではの、信仰心とか祟りなんかがチラリと頭をよぎるのだ。伸介と陽太はウエーイと言って興味本位に突き進むタイプじゃない。


――祐の隣を誰かが通り抜けた。遙だ。

 遙は躊躇うことなく洞窟へ向かって歩んでいく。そのまま進むと茂みにぶつかってしまう。

「お、おい遙ちゃん」祐が呼び止める。

 それでも歩を止めぬ遙。彼女が茂みにぶつかる寸前、まるで遙を招くように蔦がサッと広がっていった。


「……風、吹いたか?」唖然とする祐。

「いや、全然」陽太も間抜け面で言う。

「あ、いや、そんなことよりも、ちょっと待ってよ」祐は慌てて遙を追いかける。


 だが、祐が通ろうとすると、遮るかのように蔦は元にもどってしまった。分厚いカーテンのように垂れ下がる蔦を、足下に転がっている棒きれで引きちぎる。


 祐は直ぐさま洞窟に入るが、十歩も行かないうちに暗闇に視界が閉ざされる。

「ほれ、灯りだ」と陽太がLEDライトを貸してくれた。

「サンキュ」祐はLEDライトを受け取ると先頭に立って進む。

「だけど、遙ちゃんはライトとか持っていたのか?」と尋ねる陽太。

「いいや、そんな準備なんてしていないはずだけど……」

 祐は首を横に振る。何だか嫌な予感がする。

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