面白いものを見つけたんだ
そろそろ日が暮れる。みんなで夕食の支度を始める。バーベキューをする設備はあるので楽ちんだ。
食材を車から降ろした。大きなクーラーボックスに保冷剤をいれておいたので食材は新鮮なままである。
山岳部に所属していて、アウトドアを得意とする伸介は手際よく炭を並べている。炭を組み合わせて、火が付きやすいように工夫している。火が付くとうちわで風を送り炭を熾す。この辺りは手慣れている。
ドヤ顔の伸介。だが、誠に残念なことに、女子たちの目は弘信に注がれていて、キャーキャー歓声を上げながらのんびりと下準備に取りかかっている。
ガクリと肩を落とす伸介。ドンマイと励ます陽太。
「ぐぬぬ。次の作戦だ」
「了解」伸介と陽太うなずき合うと、はソソクサと立ち去ろうとする。
「お、おいこっちも手伝ってくれよ」祐が愚痴る。
「悪いな。俺たちは次の作戦の下調べに行かねばならんのだ」
「作戦? なんだそりゃ」
「まあ楽しみにしていな」ニヒルに笑う。
「何だろ」
「フフッ、何か面白いことをするのかも」と笑顔を見せる遙。
「ろくでもないことだろ」
祐は煙と格闘しながら炭火を熾す。
暫くすると、スマホから着信音。見ると陽太からだ。
「陽太か。どこ行ってるんだ。そろそろ良い具合に熾ってきたぞ」
『そんなことよりも面白いもん見つけたんだ。見に来いよ』
「ん、何処にいる?」
『コテージの北側で祠を見つけたんだよ。そこで面白いもんがあるんだ』
「さっきから、面白い面白いって、何を見つけたんだ?」
『そいつは来てからのお楽しみさ』
「もったいつけるなあ」
『早く来いよ』と言うと切れた。
「ちょっと様子を見てくるよ」祐が立ち上がる。
「……私も一緒に行くわ」遙は暫く思案する素振りを見せると、意を決したのか立ち上がった。
「え、どうせつまんないもんだよ」
「ううん。行かなきゃいけないの」