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神樹の森の巫女  作者: さすらい人は東を目指す
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コテージに到着

 夕方六時、コテージの隣にある駐車場へと到着した。

 実際に見ると写真よりも雰囲気が良い。というか良すぎる。


 二階建てのコテージの外観は、海外のログハウスみたいに丸太の壁と赤い屋根、手入れの行き届いた芝生、庭にはバーベキューをするための設備と大人数が座れそうな木造の長椅子もある。隣のコテージまで距離があり、気兼ねなく仲間内で騒ぐことができそうだ。


「なんだかこれは、お高いのでは……」

 コテージの雰囲気に祐はにビビる。ちょっとした旅館みたいな大きさだ。田舎のサラリーマンの息子には初めて見るものだ。格安で借りられたとは聞いているが、いざ精算となると結構な値段がするのではないだろうか。


だが、彼女が喜ぶのならば、追加料金もいとわない。祐は隣の恋人の顔をのぞき見する。

だけど……。


遙の表情はいまいち冴えない。まだ車酔いをしてるのかもしれない

「どうしたの」と心配になって尋ねる。


「え。ああ、まだ少し気分が悪いの」

「早く休ませてもらえるように頼んでくるよ」

「あ、いいの。心配しないで、すぐに良くなるから」

「ほんとに」

「もちろん」遙はニコリと微笑む。「本当よ」

 なんだか上手く誤魔化された気もしないでもないが、もしかしたら女の子のアレかもしれないので、そっとしておいた。


「ええっと、今日はこの庭で花火とバーベキューをするんだったよね」と話題を切り替える。

「ええ。テントを張るのは明日って聞いたわ」


 先ほど、あちらの女性陣がコテージを見て気が変わったみたいだ。まあ今からテントを張って食事の用意をしていたら、キャンプに慣れていない者がほとんどなので、時間だけ過ぎるのは目に見えているから。


「おーい、そこの二人。イチャつくなら荷物を入れてからにしろや」と不機嫌な声。


「おー、悪い。すぐやるよ」と返事した。「じゃ、行こうか」

「うん」

 祐と遙は連れだってワゴン車に荷物を取りに向かった。


 玄関の前には、残りのメンバーがそろっていた。手前の男二人組は、祐と一緒のワゴン車に乗車していた若者たちだ。


 長身の友人の名前は、松村伸介(まつむらしんすけ)。高校時代には山岳部に所属していたアウトドア好きだ。ゴツい身体に似合わず重度のアニオタで、本人もそのことを公認している。

 好きな作品の話になると周囲がドン引きするほど熱く語るため、顔はまずくないのに女生徒にさっぱりもてなかった。


 眼鏡の友人の名前は、田村陽太(たむらようた)。高校時代は祐と同じ天文学部に所属していた。明るくて面白いやつだが、下ネタが大好きなため女生徒からの評判はすこぶる悪かった。


 玄関の前で解錠している友人は、佐々木弘信(ささきひろのぶ)。佐々木重工の御曹司だ。大金持ちの息子のくせに気取ったところがなく、その上整った顔立ちと気配りのできて、オマケに爽やかな性格という完璧すぎるやつだ。当然モテたのだが、告白されてもやんわりと断っていた。

 将来は家業を継ぐために今のうちにのんびりと羽を伸ばしている最中だ。


 遙の隣にいる二人の女子高生。ショートカットの少女の名前は里中美樹(さとなかみき)。快活そうな見た目通り明るく元気な少女だ。遙と同じ高校でクラスメイトでもある。


 セミロングの少女の名前は竹下優理(たけしたゆうり)。色白で透明感のあるおっとりした少女だ。

 彼女は小学生の頃は病気になりがちで、遙が入退院していた病院で入退院を繰り返していた。遙と違うのは肝臓移植に成功したために健康を取り戻したことだろう。遙の小学生からの友人だ。


 他の女子大生たちは、弘信の知人で、祐は喋ったことはほとんどない。大学生となった弘信は「がっつく女性は嫌いだ」とか、言っていたが、やはり相当モテる。そのことが伸介と陽太は気に食わないのだ。

 弘信が連れてきた女子大生の中で一人だけ知っているのは、中条久美(なかじょうくみ)だけだ。

 腰まで届く黒髪とスレンダーな体型で、眼鏡の似合う知的そうな美人さんだ。彼女は祐たちと同郷で、進学塾が弘信と同じだと聞いている。恐らく弘信の本命なのだろう。


祐たち男性陣四人組は同じ地元で同じ高校に在学していた。地元では有名な工業高校で、男子生徒の方が多数を占めていて、女生徒が少なかった。よって色恋沙汰とは無縁の学生時代を過ごしていた。まあ弘信はそんな高校時代でもモテていたが、本人にその気が無かったためみ彼女はいなかったみたいだ。


 張り切っていた伸介と陽太は見るからに落胆していた。彼らはクラブ活動の一環として良く野外キャンプをしていたからな。良いところを見せるチャンスが無くなったのだから仕方がない。明日こそ本番だと気を取り直しているようだ。


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