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魔法少女と仲間たち

 -ー楽しい夢なら見たいもんだーー



「…なーんて、思った時もあったっけねぇぇ~!」


「タエちゃーん!口を動かすより、体動かしなさいよー!」


「やってるわい!」


小田タエ、71歳。余命宣告を受けた日から早一年。

ただいま”魔法少女”やってまーす!


あたしに文句言ってきたのはアカネって子で、20歳でフェロモンばしばしの上にベリーダンサーかアラビアンナイトかと思うような、大事な所以外はスケスケの踊り子風の衣装を着ているお仲間でーす!


なんて馬鹿みたいに自己紹介したって現状は変わらない!

あたしらは今、夢の中…というには無理のある、パラレルワールド的な所で”マモノ”と呼ばれる生命体(?)との戦いを余儀なくされている。


”マモノ”ってなんぞや?”あたしら”って何人もいるの?


最もな疑問だが、今はそれどころじゃないんで簡単にな!


”マモノ”ってのは外見は爛れ、垂れ下がり、虚ろな空洞のような目を持ち、また不透明なスライムのように歪み蠢く生き物(?)で。四つ足であったり二足歩行であったりもするが、殆ど違いが分からない。そんな化け物が、今、あたしらの前にうようよしている。


ハッキリと一つ言えるのは、とんでもなく気持ち悪い!!という事だ。


そんでもって、あたしらは四人の魔法戦士的な存在。

それぞれ違う所から”マモノ”を消す為に呼ばれた異世界人…か、パラレルワールドに紛れ込んだ一般人のどっちかだ。以上!


あたしは高く跳躍し、片手を天に向かって突き出す。

派手な技名もアクションも無いが、その手から陽光のごとく暖かい輝きに満ちた光が溢れ出し迸ると パアアーッと効果音が聞こえる位に気持ち良く 周りに蠢く殆どの”マモノ”がチリと消える。遠くの方に残る”マモノ”は仲間たちが一掃してくれた。


「おー。タエちゃん、お見事ぉ!」


「ありがとさん!アカネもお疲れさま!」


「タエちゃーん、アカネー!終わったよー!」


遠くの”マモノ”を退治した二人が戻ってきた。

黒いローブを纏っているのが カナコ。茶髪でロングヘアをしている見た目通りの16歳。もう一人はリナ。金髪碧眼のハーフで何故か看護師のような白衣をちょっと可愛くしたような衣装を着ている。一度突っ込んで聞いてみたが、「きなこが想像してって言った時にコレしか浮かばなかった…」と肩を落としていた。なんでも好きなキャラクターの衣装だとか。…あたしなんか、お面だし(遠い目)…リナは可愛いからOKでしょ。17歳だというが、長身で大人っぽいからアカネと変わらないくらいに見える。


「お疲れー。今日はコレで終わりみたいだね。小鉄たちが戻ったらとっとと帰ろうか」


「「「タエちゃんの労い飯希望!」」」


「おう…」


三人の声が揃ったね…。

この三人は、さっきも言ったように実年齢が若いですし?食べ盛りで良い事よな?…それに、変身解けても、まんまの美少女たちですし?


「…いいけどさ…。あんたたちには婆臭いんじゃないの?」


「何言ってんの~?タエちゃんの作る和食、お店レベルよぉ~。ヘルシーだしぃ。美味しくって食べ過ぎちゃうのが困るけど~」


アカネの言葉にウンウンと頷く二人。


「なら、良いけどさ…」

あんたら居ると、あたしゃ変身したままでいなけりゃいけないんでね。毎回おねだりされると疲れるんだよ…と言いたい所だが、可愛い孫みたいな子供たちが腹を空かせているんだ。まあ、頑張るさ。あー…あたし、なんで顔をそのままにしたし…お面取ったら、この子らもドン引きすんだろうねえ…。


まあね。そもそも初めて四人揃って”マモノ”退治をした時に、リナが「お腹空いた…」なんて呟くもんだから…。この時はウチの近くに居たし…ついつい、ばぁちゃん根性が出て「たいしたモンは出せないけど、ウチで飯食べていきな」って言ってしまったのさ。まさか、三人とも来るとは思わなかったけどな!


「タエちゃん?疲れてるなら、良いからね?今日は帰ろうか?」


こっそりとため息を吐くあたしをリナが気遣ってくれた。あたしは首を振って大丈夫だと伝える。


「ばぁちゃん、おまたせ!」


「小鉄!くろぶちにミミ、きなこもお疲れさん!」


猫が二匹とウサギのようで ちょっと違う感じのミミ、きなこは…ありゃなんだろね?多分、カワウソだと思うんだが…。


小鉄はあたし、くろぶちはアカネ、ミミはカナコ、きなこはリナ。それぞれのマスコットである。魔法少女には必須条件だろ?…ん?もしかしたら、ミミときなこも あたしらみたいにカードから選んで変化したのかな…?もし、あたしが猫を選んでたら…誰かのマスコットになってたかも…?


まあ、いいか!可愛いし、気にしない!


「もぉ~!くろぶち じゃないわよ~。アラミスちゃんだったらあ」


「…ずっと、くろぶちって呼んでたからね…。その内、慣れるから!」


アカネのぼやきに適当に答えておく。だって、くろぶちはアラミスなんて顔してないから笑っちゃうんだよ…ごめんな、アカネ。


さて。全員集合したところで我が家に帰還すると、あたしは台所で作業を始める。変身を解いたみんなで手伝ってくれるのは良いが、リナとカナコは本当に初心者レベルで下拵えを教えながら。

アカネは元々 家事が好きだと言うだけあって、意外と手馴れているんでメイン以外を作ってもらう。たまに、あたしの適当レシピをメモして帰っているから家でも作ってるんだろうね。感心な子だ。


え?三人に変身解けば?とか、お面はずせとかって言われないのかって?

そりゃあ、最初の内は言われたさ。でも「残念な事にお面込みの変身になっちゃってるし、美少女揃いの中で変身解くのは恥ずかしい…」なんて事をだね、頑張って言い続けて何とか市民権(?)を得たのよ。ホント、大変だったわ。


「いっただっきまーす!」

三人の美味しそうな顔。これには結構な満足感があって良いんだがね!


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