”マモノ”予報外れる
ちょっと間が空いてしたしまいました。
年末からせわしなかったので。すみません。
カナコと会ってから一週間ほど経った頃に、”マモノ”予報にレベル5の文字があった。くろぶちは まだ戻っていないから、また何かイレギュラーな事が起きたのだろうと小鉄に聞いてみたが…。
「…ばぁちゃん、ごめん。くろぶちから、れんらくないの…」
「え…?なんでだい?お前たちは…あー…仕事なんだろ?常に繋がっているんじゅあないのかい?」
何となく、管理者代理とは言わない方が良いような気がして言葉を濁してしまった…。そんな あたしの問い掛けに、小鉄は複雑な顔をして黙り込んだ。
「…また、とんでもなく想定外の事が起きたのかねえ…」
これは小鉄に言ったというよりは、独り言に近かった。大事そうにナマコを撫でていたくろぶちの姿を思い出して溜息を吐く。ともあれ、夜になれば嫌でも会えるだろう。そうしたら、少しは状況が分かるだろう…と期待してるんだけど…。
小鉄の様子を見る限り、どうも簡単な事じゃあなさそうだ。
*
夜の帳が下りて人の気配が無くなった頃、あたしたち三人は久しぶりに顔を合わせた。リナもカナコも、アカネのいない集まりに少しばかり暗い顔をしている。
人家から微かに柱時計が鳴っているのが聞こえるのと同時に”マモノ”たちが現れ始める。今回の量は…ハンパない。まさに 隙間なくひしめき合う様な感じで蠢いている。
「うーわ…。気持ち悪い~」
カナコの顔がオエッとなっている。確かにね。ただえさえ気持ち悪いのに、なんでこんなに湧いて出るんだか。…そして、くろぶちの姿は未だにない…。
「小鉄…」
「うん…。でも、くろぶち あたまいいし、きっと、だいじょうぶ…!」
半ば自分に言い聞かせるように強く言う小鉄。
あたしはフウッと息を吐き、レベル5が出て来るのをじっと待った。
*
「まだ出ないね…。この間と同じ感じ…?」
だいぶ待たされて、リナがぼやいた。もうじき深夜0時になる。
「始めないなら、もう帰っていいかなぁ…。眠くなってきちゃった…」
カナコも待つのに飽きてしまっていた。こういう時…油断している時が一番危ない。あたしはちょっとばかり二人に危機感を促して、小声で小鉄に聞く。
「小鉄…この間の事を踏まえて…1時になったら…あと、1時間くらいしたら…行くにしろ撤収するにしろ…決断しよう。良いね?」
小鉄は責任を迫られて耳を倒したが、くろぶちのいない今は自分がやるべきなのだと決意したのだろう。キリッとした顔になって頷いた。
…結局、1時過ぎまで待ってみたがレベル5は現れなかった。あたしたちの鬱憤を晴らすのもあって、ザックリと”マモノ”を倒してみたが欠片の一つも出なかったので早々に撤収となった。今回は”マモノ”予報が始まって以来、初めてのハズレとなったようだ。
家に戻ったあたしは、これからどうするのかと小鉄に聞いてみた。小鉄もくろぶちとコンタクトを取れないせいで、ちょっとばかり焦っている様子だ。
「小鉄、焦っちゃダメだよ。そんなんで考えても良い事ないからね」
そっと抱き寄せて撫でる。この子が何者であっても、あたしの大事な家族だからね。出来るだけ苦しんでいるのは見たくないんだ。
「……」
小鉄が、言いたい事があるのに言えない…どうしよう…でも…と駄々洩れの表情であたしをじっと見てくる。あたしは優しく笑って「どうしたね?可愛いなあ、小鉄は…」なんて敢えてどうでも良い事を言いながら、小鉄の顔を両手で挟んでウリウリと揉んだ。
そして、小鉄が口を開こうとした時だ。体中の毛がボンッと逆立った。
目を見開いたままの小鉄は、「ばぁちゃん、へんしん…」とぼそりと呟くように言い 緊急事態と察したあたしは言う通りに変身する。さっと肩に乗った小鉄は何も言わずに場所を移動した。
…移動した先は、今回”マモノ”が出る予定だった場所から遥かに離れた所で…何故かカナコがミミに怒られていた。怒ると言っても、あたしにはミミの言葉が分からないから内容は分からない。ただ、「プイプイプイプイッ!」って感じで本当に怒ってます!って感じを体全部で表しているんだ。
当のカナコは「あー、うん、そ-ねー、あーーはいはいはい」と不貞腐れた返事を返している。見ている分には微笑ましい感じだが、そこに小鉄が分け入りミミをどこかに連れて行ってしまった。
「あー、もぉ…気分悪い…ぅおぉっ?」
ぶすくれながら振り返ったカナコが、あたしを見て驚いた。
「ぃ、いやん…タエちゃんったら、いたの…」
少しバツの悪そうな顔で言って来た。
「…なにを怒られてたんだい?」
聞かないのもおかしいかと思って聞いてみる。
「…邪魔するなって、言われてた…」
「邪魔…?」
カナコの目が揺らいだ。どうやら言い辛い事らしい。うーん…これは、どこまで踏み込んでいいのかね…?まぁ、小鉄が連れて来たんだし…あたしのやりたようにしちゃっても良いのかなあ…?大体、小鉄。あんたったらミミ連れてどこに消えたのさ!




