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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

だれでもわかるおわりのはじまり

本日、一つの国が滅び去った

その予兆は奇しくも、ちょうど三年前に起こった出来事である

それも、関係のない所で起こった複数の出来事






その日の朝早く、城下の宿の一室で一人の男がパーティから追い出された

彼は名のある魔法使いの弟子だったが、異世界から召喚された王国の勇者の目にかなわなかった


同時刻、王城

勇者と同じく召喚された異世界人が、城から抜け出した

勇者ではないが、異世界人ということで城で保護されていたのだが、半ば軟禁されていたのだ

その上、勇者と比較し嘲笑するメイド、訓練と称して雑用をさせ疲れきらしてから組手をさせる騎士団の相手等々の過酷な生活を強いられていた

彼を逃がしたのは誰だったのか、終いぞ分かることはなかった


同時刻、別の宿にて

朝早くから、複数人の男女が暗い顔で出ていった

彼らはパーティメンバーからかなり冷遇されていた人達だ

中には装備一式すら持っていない人もいる

店主は、先払いの宿代の残りを持たせてやった


日が進み正午、学園にて

卒業パーティの最中、王太子が婚約破棄をした

婚約者の令嬢が男爵令嬢を苛めたらしい

元婚約者の令嬢の実家の公爵家は、激しい怒りを抱いた

また、高位貴族を中心に婚約破棄が多数起こる

今期の学生の約半数が卒業パーティでの婚約破棄をしたようだ

破棄した者は、それぞれ思い思いの相手を連れていて、破棄された有力貴族の令嬢を求める者も居たようだ


同時刻、貴族街

複数の夫婦や婚約者が、女性側から離縁を提案される

今朝から様子がおかしい女性が覚悟を決めた顔で皆離縁をしたいと訴えたそうだ

反応はそれぞれ、寄り添うもの・相手にしないもの・離縁に賛同するもの、と様々だった

彼女たちの世話をしていたメイド達は、その日は顔色が変わるほどの悪夢を見たようだったと語る


同時刻、教会にて

幼少より聖女とした少女が、偽物だと発覚した

その少女の妹こそが、本物の聖女であると神託があったらしい

本物の聖女が卒業パーティに出席している間に、偽物を捕らえる事になったが、既に部屋はもぬけの空であった

部屋には純白の羽が落ちていたため、神罰が下ったのだろう


同時刻、近辺の森にて

武装集団により襲われていた異種族の村が救われた

救った人物は奇妙な格好をした男性であり、スキルだのステータスだのとよくわからない単語を話す変人のようだ


同時刻、城下にて

複数の子供が転んで頭を打つ

症状はそれぞれで、軽い擦り傷から重ければ数日の意識不明

だが皆揃って、頭を打った後は人が変わったようだという


同時刻、ダンジョン各所

メンバーをダンジョン内に置き去りにする事件が複数起こる

囮にされた冒険者は、普段から冷遇されていたようだ

その日の酒場は、多いに盛り上がっていたという


同日夜、周辺国

王国の各所にて不思議な光や黒い霧などを観測

後日の調査によると、友好的なダンジョンマスターや異世界の神の降臨等々、とても信じがたい光景が各所起こっていたようだ






その翌日、貴族の筆頭であった公爵家が離反を発表

それに続き、婚約破棄をしなかった高位貴族や割りを食った商家、娘を傷物にされた領地持ちの貴族が王都を離れる

王城では全ての魔法使いと一部の騎士や文官が登城せず行方不明になる

王都では評判のいい宿や道具屋、薬屋などが店を閉めたようだ

朝からひっきりなしに馬車が出ていく。貴族や商人と、その護衛の冒険者達だ

護衛の冒険者達は、昨日宿から出ていった者たちだ。その顔は昨日とは違って、とても楽しそうだ




一月後、またも多くの馬車が王都から離れていった

離縁を提案され、離れなかったカップル達が出ていくようだ

それに便乗するように、急に大人びた子供たちもが出ていく。親兄弟と共に、または肉親を捨て単身で

彼ら彼女らは公爵領へ迎えられ、後に領の発展に著しく貢献していく

またこの一月の間、王都付近の魔物達が徐々に大人しくなった

自ら襲ってくることがなくなり、逆に襲ってくる冒険者達には種族を超えて連携して返り討ちにするようになった

ドラゴンを見かけたという話もあり、どうやら一帯の魔物のボスが生まれたようだ

勇者や凄腕と言われていた冒険者達も、以前のような快進撃が出来ず手ぐすねいているらしい

なお、今回の馬車の護衛は王国の兵士が殆どであった




一年後、王国の領土は王都のみとなっていた

森の中にあった異種族の村が、魔物の国として立国した

それに続き各領土の貴族達が離反し、その魔物の国と連合国となる

魔物に対抗するため、王国は教会に協力を求め、勇者を中心に名だたる冒険者達を束ねた

これより二年間の戦争が始まる

ただし、王国にとってのみだが

連合国側は専守防衛を徹底出来るほどに彼我の差がある事を理解していた

追放された魔法使いの弟子をはじめ、他の追放された冒険者達や弾圧されていた異種族の人々の才能が開花したのだ

各々魔法使いや騎士の師を得、たった一年でそれぞれが王国随一を名乗れるほどに成長したのだ

もはや王国に残る騎士や名のある冒険者等相手にならず、勇者ですら単独であしらえるほどに

戦いに向かない者も、強力な結界や便利な生活魔法の開発等違う方面でその才覚を発揮した

聖女の座を追われた元男爵令嬢など、不毛の地を花畑に変える程の癒やしの力を発揮したという

各地に発生したダンジョンからは、この世界ではありえないような様々な物品が産出され、ダンジョンに必要なエネルギーを領内から融通する事で、かなり良好な関係を築いている

連合国の代表の男は異界の女神と恋人となった。彼の言う当初謎であったスキルやステータス等の単語も利発な子供たちが解明し、スキルという様々な効果を及ぼす魔法を発明した

それにより、更に戦力の差が開くことになる





一年と半年後、開戦から半年で王国側の義がなくなる

教会の総本山、聖王国から以下の声明が出される

曰く、信託は教皇にのみ降りるものであり、王国の大司祭は神の名を騙った大罪人である

曰く、王国の勇者は神が遣わした者でなく、王国が異世界から誘致した偽物である

曰く、我が神の友である異界の女神の伴侶こそ、この世界の正しき勇者である

曰く、王国から天使が救い出した元聖女こそ、本物の聖女である

曰く、神は魔物を産み落とさず、この世界に生きる全ての生き物は神の子である

これにより連合国は魔物の国という蔑視を克服し、種族の垣根を超え真の平和を表すまことの連合国と語られるようになる

異種族人はそれぞれ神によって与えられていた種族名を堂々と口に出せるようになった

魔物と呼ばれていた知性ある獣達も、神獣と呼ばれるようになった

また、連合国と地続きである帝国も、連合国と同盟を発表

幼い頃より文通をしていた公爵令嬢を皇太子が娶り、共存繁栄を約束した

冷徹な魔王と称されていた皇太子の太陽のような笑顔は、その評判を一気に塗り替えたという

また、開戦より半年の間に、ダンジョンからの帰還者が次々に現れる

人間不信に陥っていた彼らだが、特に暴れるような事もなく過ごしている

一部、涙の再会をして結ばれたりしているようだ。その時は国の皆で祝っていた






二年後、開戦から一年で王国の結界が消滅する

どうやら偽の聖女も含め、王国に残っていた教会の勢力が全滅したようだ

聖女は妹である偽の聖女を心配し、涙を流した

しかし実態は、婚約者である王太子に偽の聖女が迫り聖性をなくしたらしい

結界は消滅したが、王都の周りには野生動物程度しか居ない為、特に問題はなかった

しかし、未だ王都に残っている人々は、居ない魔を極度に恐れ、神経をすり減らしていったという

そしてここに来て、王都から脱出する者たちが三度現れた

権威にすがり残っていた貴族や商人だ

少しでも何かを持ち出そうと、貴族街や城下を荒らしに荒らして王都を出るも、しかし王国正義軍を名乗る勇者軍に捕らえられる

彼らが暴れたせいで、戦力は更に減り、城の備蓄も激減した

これにて進退窮まった王国は、連合国に停戦を求めるも連合国側は拒否

そもそも戦争等しておらず、未だ魔物の国と呼び村や集落を襲う王国を追い払っているだけだとの回答をする






三年後より一月ほど前、王城から消えた異世界人が聖王国より訪れる

かねてより研究していた帰還魔法が完成したとの事

連合代表や女神、帝国や聖王国の叡智の結晶である

その魔法を携えた異世界人は、まず王国の勇者を異世界へ送還した

その後、転生者と言われる異世界人の魂が乗り移った王国の民を開放していった

その中には偽の聖女も含め、複数の令息を虜にした令嬢が数多くいたらしい

転生者から開放された人々は、一度天に帰り再び縁者の下で生を迎えるそうだ

そうして王国を浄化した異世界人は、自らも異世界へ帰還していった

その時聖女も一緒に付いていったらしく、しばらく聖王国の神官たちが慌てふためいていたのは後の笑い草となる

王国には最大戦力の勇者が居なくなり、人を見る目がなかったと嘲笑される名ばかりの元冒険者と転生者の娘達に踊らされていた男達しか残らなかった






三年後、開戦より二年

王太子が謝罪の場にて、帝国の皇太子妃に詰め寄り拉致未遂を起こし、捕らえられる

また、王国の王妃が連合国では禁忌品の神獣の毛皮を羽織って来た為こちらも捕らえられる

王は、謝罪はしたもののしばらく後には連合代表に難癖をつけだし、代表を変わってやる等の簒奪を企んでいる発言をした為、捕らえられた

残りの王国貴族達も、元婚約者と強引に婚約を結ばせようとしたり、縁切りをした子供に宥め賺して取り入ろうとしたり、異種族を魔物と嘲笑する等を辞めないので、次々に捕らえられていった

捕らえられた後、牢番である天使を魔物呼ばわりした為天罰が下り、王国の王族や貴族は途絶えてしまった

かの同時多発大事件より三年、王国は神の手により滅び去った


今、元王国の元冒険者達は、元王国騎士達と共に元王都付近のマスター不在ダンジョンの間引きをさせられている

連合の冒険者や帰還者達に比べて明らかに実力が劣っているので、その位しか仕事がないという事実が一番辛いらしい


三年前のあの日に結ばれ、連合へ逃げたカップルは各々良好な関係を続けている

一月前の大浄化の後、身籠りが確認された夫婦は、優しかった姉や妹が帰ってくると、とても幸せそうだ




この王国は、何か一つでも違えば滅ばなかっただろうか?

いや、一つでは全く足りないだろう。一つ一つが大きすぎるストーリーではないだろうか

これ程大きなストーリーが絡んだ為、不幸にも巻き込まれた人が不幸なままでなかった事が、不幸中の幸いであろうか

このような奇跡は神ですら二度は起こせないだろう。この本が後の世の教訓になることを願う



   帝国 皇帝

これだけ沢山ざまぁしたら爽快かなと思ってました

思った以上にざまぁ出来なかった

何故…

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