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妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される・完結【第12回ネット小説大賞コミック部門入賞】  作者: まほりろ
改稿版

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改10話「ロイヤルブルーのドレス」


 ゲルダさんの部屋に行くと、ゲルダさんが船員さんに大きな樽とお湯を用意させた。

「これは帝国で流行しているシャンプーとトリートメントだよ。

 ちょっと奮発して買ったバラの香りのする石鹸さ!」

 大きな樽の中に座るようにいわれ、花の香りのする石鹸で体を洗われ、髪にはシャンプーやトリートメントをされた。

 お風呂が終わると、ゲルダさんはバスタオルを使い髪を丁寧に乾かしてくれた。

 誰かに髪を乾かして貰うなんて、母が亡くなってから初めてかもしれない。

 久しぶりに、穏やかで懐かしい時間を過ごした。

 私の髪を乾かし終えると、ゲルダさんは私の体を採寸した。

「リアーナはスタイルがいいね。

 でもちょっと痩せすぎだね。

 ルーデンドルフ帝国に着いたら、お魚だけでなく、お肉も食べさせないとね」

 スタイルがいい……?

 私が……?

 採寸を終えると、ゲルダさんがトランクからドレスを取り出した。 

「この色なんて、リアーナに合うと思うんだけどね」

 それは海のように深く濃く鮮やかなブルーのドレスだった。

「あの……そんな素敵な服をいただく訳には……」

「遠慮しなくていいよ。

 実をいうとあたしにはちょっときつくて着れないのさ」

 ゲルダさんが目配せをする。

「もっとも、リアーナにはゆるゆるだろうけどね。

 あたしがちゃちゃっと直すからそこにかけて待ってな」

 私は言われた通り、椅子に座り、ゲルダさんがドレスを手直しするのを待つことにした。

 流石皇族専属のお針子。

 ゲルダさんは目にも止まらぬ速さで、あっという間にドレスを直してしまった。

 仕上がったドレスには、リボンやフリルやカフスなども足されていた。

「ちょっと地味だったから、飾りを足してみたよ」

 ゲルダさんが目を細めニコリと笑う。

「ありがとうございます!

 とても素敵なドレスです!」

 ドレスを着るなんて何年振りかしら?

「さぁ、あたしの手直ししたドレスを着ておくれ」

「はい」

 ゲルダさんにロイヤルブルーのドレスを着せてもらった。

「髪型もドレスにあったものにしようかね。

 化粧もした方がいいね」

 ゲルダさんは私の髪をハーフアップにし、顔に軽くお化粧を施した。 


「どう、あたしの傑作!

 新生リアーナ!」

 全ての準備が終わると、ゲルダさんは部屋にドミニクさんを招き入れた。

「おおーー! 

 これが本当にあのリアーナなのか?

 別人じゃねぇか!」

 ドミニクさんが目を見開いている。

 そんなに変わったでしょうか?

 自分ではよく分かりません。

「もともと美人だったけど、こうして飾り立てると、華やかさが増すだろう?

 あたしは一目見たときから、リアーナが美人だと気づいていたよ。

 飾り立てたら、誰もが振り返る絶世の美女に変身するともね!」

 ゲルダさんが胸をはり、得意げな顔をした。

「あたしに息子がいたら、リアーナを息子の嫁にするんだけどね」

「いや〜〜。

 ハルシュタイン王国で会ったミラって聖女も美しかったが、リアーナもそれに引けを取らねぇな」

「あんたの目は節穴かい?

 あんな高飛車なだけで魔法の腕が未熟なへっぽこ聖女より、

 リアーナの方がずーーっと華麗だよ!」

 まさか見目麗しいと評判のミラと比べられる日が来ようとは……。

 私がミラより綺麗だなんて、お世辞にしても言いすぎだわ。

 平凡な容姿の私が、ミラのような華やかな顔立ちの可憐な少女にかなうわけがない。

 彼女と自分を比べるなんておこまがしい。

「よし! 食堂に行って乗員の船員に綺麗になったリアーナを見せびらかそう!」

「バカなことはおよし!

 変な虫が着いたらどうするんだい!」

 ゲルダさんがドミニクさんの頭を軽くパシッと叩く。

「リアーナは気品があるんだ。

 そのへんの男にはくれてやれないね。

 騎士以上の男じゃないとね」

 ゲルダさんに叱られ、ドミニクさんは大きな体を丸め小さくなっていた。

 ドミニクさんとゲルダさんの夫婦は、かかあ天下のようだ。


「おい誰か! 船医を! 船医を呼んで来い!」

「早く! 血止めのタオルを!」

 その時、廊下をバタバタと走っていく音と共に、船員の焦った怒鳴り声がドア越しに響き渡る。

 平穏な時間は終わりを告げた。

  


8〜10話。 

・リアーナ、ハルシュタイン王国からアルドリック帝国への船に乗る。

・リアーナは甲板で海神ニョルズへ航海の安全を願う。

・食堂で、ドミニクとゲルダと共に魚料理を食べる。

・ゲルダがリアーナの体を洗う。バラの香りのする石鹸。帝国で流行しているシャンプーとトリートメント。

・ゲルダがリアーナの採寸をする。

・ゲルダが自分の服をリアーナのサイズに合わせて仕立て直す。

・ゲルダがリアーナにドレスを着せる。

・ゲルダはリアーナに青のドレスを着せ、髪をハーフアップにし、薄くメイクをした。

・着替えたリアーナを見て、ドミニクが驚く。

・リアーナは褒められても、あまりピンと来ていない。

・そのとき、船が慌ただしくなる。



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