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妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される・完結【第12回ネット小説大賞コミック部門入賞】  作者: まほりろ
改稿版

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改9話「お魚料理」


 

 食堂には木製のテーブルが並べられ、乗船客に混じり、船員さんも食事をしていた。

 船の食事はお魚料理がメインです。

 お城ではパンとサラダと水しか口に出来なかったので、お魚を食べるのは久し振りだわ。

 祈りを捧げる聖女は、肉や魚を食べない方がいいと言われ、限られた食材しか口にできなかった。

「アジのムニエル、バターの風味が効いていてとても美味しいです」

「エビのガーリックソテーと、海藻のサラダもなかなかいけるな」

「魚介のスープも絶品だね。

 サバの塩焼きもレモンをかけるとさっぱりと食べられるね」

 ドミニクさんとゲルダさんと食卓を囲む。

 誰かと一緒に食事をするのも久しぶり。

 いつも部屋で一人で食べていたから。

「リアーナ、食事が済んだらあたしの部屋に来ておくれ」

「えっ?」

「腕も元通りになったし、あたしの服をあんた用にリメイクしようと思ってね」

 ゲルダさんはふくよかな顔に皺を作り、楽しそうに笑う。

「心配しなくてもいいよ。

 ほとんど袖を通してない服だし、若い女性でも着れる色とデザインだからね」

 私が返事をしないので、ドレスの色やデザインの心配をしていると思われたらしい。

「勘違いをさせてしまったのならすみません。

 そういう心配をしている訳ではないのです。

 その……私の服、そんなにみっともないですか?」

 自室で絵を描いているときに王太子殿下に呼ばれ部屋を出て、その後すぐ城を追い出された。

 なので私は、聖女の使う白いローブの上にエプロンを身に着けたままだ。

 エプロンのあちこちに絵の具がついていて、お世辞にも綺麗な服とは言えない。

 お城を出て約一日が経過し、服についた絵の具の匂いはだいぶ薄らいだと思う。

 昨日ほど臭わないはずだが……。

「そういうわけじゃないんだけどね。

 職業柄、服を沢山持ってるから余り気味でね。

 ねぇ、あんた」

 私が不安げに問うと、ゲルダさんは苦笑いを浮かべ、話をドミニクさんに振った。

「リアーナ、気にするな。

 こいつは職業柄服装にうるさいんだ。

 俺は今の服のままでも悪くないと思ってるぜ」

「あんたは本当にいいカッコしいだね」

 ゲルダさんは、ドミニクさんの頭をポカリと叩くと、ため息を吐いた。

 ゲルダさんのお仕事は、お針子でした。

「リアーナ、気を悪くしないでおくれ。

 こんなに素材のいい美人さんが目の前にいるのに、

 そのままにしておくのはもったいないなくてねぇ。

 着飾ってやりたくなるのさ」

 ゲルダさんが片目をパチンとつぶる。

 美人とは……誰のことだろう?

「そういうわけだから、あたしの部屋に来ておくれ!」

「……はい?」

 ゲルダさんの勢いに押し切られ、彼女の部屋に連れて行かれてしまった。



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