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妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される・完結【第12回ネット小説大賞コミック部門入賞】  作者: まほりろ
改稿版

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28/54

改1話「リアーナ・ニクラス婚約を破棄される」

【前書き】 

・改稿版に付いて。

 コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。

 ですが……改稿する必要はなかったようです。 

 つまり改稿版はおまけの蛇足です。

 

 コミカライズの「原作」は、改稿前のものです。

 なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。

 小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。

 せっかく改稿したのでもったいないからアップします。

 よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。

 

※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。

一人目(ヒロイン)

✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)

◯リアーナ・ニクラス(変更後)

・二人目(鍛冶屋)

✕デリー(変更前)

◯ドミニク(変更後)

・三人目(お針子)

✕ゲレ(変更前)

◯ゲルダ(変更後)


※下記二人の一人称を変更

へーウィットの一人称→✕僕◯俺

アルドリックの一人称→✕私◯僕


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


・いつ 

女神暦818年5月1日 

・どこで 

ハルシュタイン王国・王宮・応接室

・誰が 

リアーナ、へーウィット、ミラ 

・服装

リアーナ→白地のローブ(木綿製)、ローブの上にエプロン(絵画用)

へーウィット→緑を基調、黄色を差し色に使った軍服、シルク製

ミラ→白地のローブ、水色の差し色、ローブの下は露出度の高いトップス、ミニスカート、シルク製

・建物

 ハルシュタイン城

 緑の屋根、白い壁、三階建。 

 城の1階:食堂、キッチン、大広間、ガードルーム、倉庫など

 城の2階、ダンスホール、図書館、サロン、謁見の間、ゲストルームなど

 城の3階、王族の寝室、書斎、リアーナの部屋、祈りの間(結界の間)、王族のバスルーム

 敷地内に噴水、ガゼボ、池、指輪の研究所、馬小屋、バラ園、薬草園、聖堂、聖女の宿舎、騎士の宿舎、鍛冶工房、騎士の訓練場などがある。

 城の周りには堀。 


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


・ハルシュタイン王国

建国から300年

第十九代国王ガーラン・ハルシュタイン 

40歳


・ルーデンドルフ帝国

建国から400年

第二十五代皇帝バルデマー・ルーデンドルフ

48歳




「リアーナ・ニクラス!

 貴様は部屋に閉じこもり、

 絵を描いてばかりで聖女の職務をおろそかにした!

 よって最高聖女の地位を剥奪し! 俺との婚約を破棄する!」

 風が暖かくなり、花の蕾もほころぶ頃。

 王宮の大広間に呼び出され、その場に赴くと、殿下に婚約破棄を突きつけられた。

 王太子殿下が頭から湯気を上げ、私に人差し指を向けそう言い放つ。 

 殿下の青い瞳は怒りの色に染まっていた。

 私が大広間に入ると、王太子のへーウィット殿下と、妹のミラが待ち構えていた。

 広々とした空間に三人しかいないのは、変な感じです。

 見えないところに王太子殿下の護衛や、従者が控えているのかもしれないが、私にはわからない。

「お言葉ですが殿下。

 私は最高聖女の務めを果たしております。

 毎朝水晶に祈り国中に結界を張っております。

 休息時間に絵を描くことは陛下の許可を得ております」

 毎朝、王宮の最上階にある祈りの間で、水晶の前で祈り結界を張るのが最高聖女としての私の仕事。

 私の張った結界は、ハルシュタイン王国全てを覆っている。

「うるさい!

 ミラから聞いているぞ!

 お前は怪我人の治療をさぼっているとな!

 怪我人の治療をするのも聖女として大切な仕事だろ?

 それをサボっていて何が最高聖女だ!」

「怪我人の治療をする聖女はたくさんいますが、国全体を覆う結界を張れる聖女は私だけです。

 結界を張るのには膨大な魔力が必要。

 結界を張ることで、一日分の魔力を使ってしまうので、他の仕事は出来ないのです」

 なので、結界を張ったら残りは自由時間。

 私は絵を描くのが好きなので、陛下が自由時間に絵を描けるよう、絵の具やキャンバスを貸し与えてくれた。

「口答えするな!

 お前が炎を纏ったトカゲだの、

 八本足の馬だの、

 老人の生首だの、

 おぞましい絵を描いている間に、

 お前の妹のミラが聖女の仕事をしていたんだ!」

「そうですよ、お姉様。

 少しはわたしに感謝してください」

 腹違いの妹のミラが王太子殿下の横にすっと立つ。

 王太子殿下は十六歳。

 ブラウンの髪に、青い瞳、ひょろりとした体系。

 緑を基調とし、黄色を差し色に使った軍服を纏っている。

 ミラは十四歳。

 ブロンドの髪をドリルツインテールにし、両サイドに桃色のリボンを結んでいる。

 彼女は聖女の服をだいぶアレンジし、胸元が大きく開き、二の腕の見えるトップスに、太ももが見えるくらい短いスカートを履いていた。

 ミラはエメラルドグリーンの瞳をきらきらと輝かせ、殿下に体を寄せた。

 二人が並ぶと、一対のお人形のようだった。

 対して私は、木綿製の白無地のフード付きローブを羽織り、聖女の支給服を纏っている。

 絵を描いてる途中で呼び出されたので、エプロンを付けたままだ。

 銀色の髪にアメジストの瞳の私は、二人に比べると周囲に暗い印象を与える。

「お前が部屋で遊んでいる間に、

 ミラはずっと怪我人の治療をし、

 人々の悩みを聞き、

 辛い仕事をこなしていたんだ!」

 怪我人の治療が、聖女の仕事なのは知っていた。

 だが、貧しい人の話を聞くのが聖女の仕事だとは知らなかった。

「魔力を使い切っても、人々の話は聞けたはずだ!」

 それは否定できない。

 知らなかったとはいえ、これは私の落ち度。

 陛下は「リアーナは結界を張るだけでいい、残りの時間は好きに絵を描いていていいよ」と言ってくれた。

 それに甘えて、他に仕事がないか知ろうとしなかった。

 二人に責められても文句は言えない。

 もう少し陛下に聖女の仕事について、調べるべきだった。

「お前よりもミラの方がずっと最高聖女にふさわしい!

 よって、新しい婚約者には君の妹のミラを指名する!

 王太子の権限で新しい最高聖女にミラを任命する!」

 王太子殿下がミラの肩に手を回すと、ミラは彼の肩に頭を寄せる。

「お姉様、安心してください。

 あなたの代わりに、わたしが最高聖女としての役目を果たします。

 王太子殿下の婚約者としても、最高聖女としても、お姉様よりも上手くやってみせますわ」

 ミラが私を見てくすりと笑う。

「ですが結界を張るの仕事はミラ一人では……」

 私は八歳の時に聖女として王宮に上がった。

 それからすぐに最高聖女に任命され、一人で国中に結界を張ってきた。

 それが出来たのは、私の魔力量が普通の人よりかなり多いから(20〜100倍程度と推測)

 ですが、妹のミラの魔力は普通の人より気持ち多い程度。(2〜3倍程度と推測)

 それではとても、ハルシュタイン王国全土を覆う結界を張れない。

「王太子殿下の婚約者でなくとも構いません!

 最高聖女としての地位もいりません!

 ですが今まで通り結界を張るお仕事だけはさせてください!」

 私は縋るような思いで、殿下に嘆願した。


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