24話「ニクラス公爵夫妻の罪」ざまぁ回
二時間後、衛兵に連行されニクラス公爵夫妻が玉座の間にやってきた。
二人は手を後ろで縛られ、咎人のように扱われている。
「国王陛下……この扱いは、これではまるで罪人ではありませんか……!」
「私たちが何をしたと言うのですか……!」
「やかましい!!」
国王はニクラス公爵を拳で殴り、公爵夫人を平手打ちにした。
「ごふっっ!!」
「きゃーー!!」
ニクラス公爵は鼻からは血を流し、公爵夫人の頬は真っ赤に腫れていた。
「お前たちの娘のミラがアンドヴァラナウトの指輪を盗んだ! あの指輪には三年分の国家予算がつぎ込まれている! よって貴様達の地位を剥奪し、ニクラス公爵家の財産は全て没収する!!」
国王の言葉を聞いて元公爵夫妻は顔を青ざめさせた。
「そんな……! あの指輪は王太子殿下よりミラに贈られたものです! それを盗んだなどと……!」
「そうです! あれは王太子殿下より贈られた婚約指輪だったはず……!」
「黙れっ!!」
国王が元公爵夫妻を蹴り飛ばす。
「ごぼぉぉっっ……!」
「いやぁぁーー!」
元公爵夫妻は口から血を吐いた。
「貴様らの財産を没収したところでアンドヴァラナウトの製作費用には到底及ばん! お前たちを人柱として生きたまま国境に埋める!」
「「ひっ……!」」
国王の言葉に元公爵夫妻は息を呑んだ。
「リーゼロッテはどこだ! リーゼロッテを連れてくれば許してやる! 行く宛のないリーゼロッテは公爵家に行ったはずだ!」
「リーゼロッテはその……公爵家に来たのは来たのですが……」
「王太子殿下に婚約を破棄され聖女を首になったと先触れが届いておりましたし……汚らしい身なりで酷い匂いを放っておりましたから……追い払いました。……行方は分かりません」
元公爵夫妻の言葉に、国王の血管がブチブチと音を立てて切れた。
「こやつらの魔力をあるだけ搾り取り牢屋にぶち込んでおけ!!」
「承知いたしました!!」
元公爵夫妻は衛兵に連行され玉座の間から連れ出された。
「離せーー! わしは公爵だぞ!!」
「離しなさい! 私は公爵夫人よっっ!!」
二人は喚き散らし暴れたが、衛兵に殴られるとおとなしくなり連行されて行った。
「リーゼロッテを探せ!! 金を持っていないから遠くには行ってないはすだ!!」
「はっ! 承知致しました!!」
国王がリーゼロッテの捜索を命じると、衛兵が玉座の間を後にした。
「逃がさんぞリーゼロッテ!! 必ず見つけ出してやる!!」
国王は目を血走らせ拳を握りしめ、ひとりごちた。
だがリーゼロッテがネーベル大陸の土を踏むことは二度となかった。