10話「ロイヤルブルーのドレス」
「どう、あたしの傑作! 新生リーゼロッテ!」
ゲレさんの部屋を訪ねると、すぐにお風呂に放り込まれ、シャンプーやトリートメントをされました。
お風呂のあとゲレさんに採寸してもらい、ゲレさんがドレスを手直ししている間座って待っていたのですが……流石王宮に仕えるお針子。
ゲレさんは目にも止まらぬ速さで、あっという間にドレスを直してしまいました。
ロイヤルブルーのドレスを着せてもらい、髪をハーフアップされ、軽くお化粧されました。
「おおーー! これが本当にリーゼロッテか? 別人じゃねぇか!」
デリーさんが驚いた顔で声を上げます。そんなに変わったでしょうか? 自分ではよく分かりません。
「もともと美人だったけどこうするとさらに華やかだろう」
ゲレさんが胸を張り得意げに話します。
「あたしに息子がいたら、息子の嫁にするんだけどね」
「いやーハルシュタイン国で会ったミラって聖女も美しかったが、それに引けを取らねぇな」
「何言ってんだい、あんなインチキ聖女よりリーゼロッテの方がずーーっと華麗だよ!」
まさか見目麗しいと評判のミラと比べられる日が来ようとは……。
私がミラより華麗だなんて、お世辞でも言いすぎですよ。
平凡な容姿の私が、ミラのような華やかな顔立ちの可憐な少女に敵うわけがないのに……比べるなんておこまがしい。
「よし! 食堂に行ってみんなに見せびらかそう!」
「バカなことはおよし!」
ゲレさんに叱られデリーさんが小さくなっています。仲の良いご夫婦です。
その時「おい誰か! 船医を! 船医を呼んで来い!」「早く血止めのタオルを!」廊下をバタバタと走っていく音が聞こえました。