持ち物確認②
続いて自分の荷物を確認する
今日は寝坊をしかけて、
その辺にあるものを全て突っ込んできた。
(さぁ、何が入っているのだろうか)
リュックを開けて、中身を取り出すと……
まず、有名なキャラクターのぬいぐるみと少女漫画が出てきた。
しかもぬいぐるみにはご丁寧に「まこと」と名前が書かれている。
(解せぬ。なぜこんなものが入っている)
それをみたミツルは
「お前にそんな趣味があったのか……。大丈夫だ。俺は気にしないぞ」
「そんな趣味はない!」
即座に反論した。
おそらく、妹が入れたのだろう。
そう推測する。
まだ保育園に通う妹は俺のお下がりのぬいぐるみが大好きだ。
だから、いつも保育園にぬいぐるみを持っていく。
だが、あのおっちょこちょいな妹のことだ。
少女漫画とともに俺のリュックに間違えて入れてしまったのだろう。
「いいんだ、少女漫画をお前が読んでいたって。隠さなくていいぞ。思う存分楽しめ」
「ちが──ーう!!!!」
全力で否定した。
さぁ、気を取り直して次に行こう。
数学の課題プリント30枚。
昨日帰ってきたテスト10枚。
課題プリントはどれもこれも白紙である上、
テストにはどれも大きく赤く書かれた【赤点再試】の文字が踊っていた。
「なるほどなるほど」
ミツルが覗き込んでニヤニヤしている。
「見るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「見てない、見てない。僕の半分も(点数が)ないことなんて見てない」
「見てんじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ちなみにミツルは頭がいいので
常にテストで90点以上をキープしている。
ロクなものが出てこない。
今度こそ。
そして出てきたのは……
大量のマスク。
そうだった。
現実世界では新型のウイルスが蔓延していて一時緊急事態宣言も出されたくらいだ。
そんな時、値上がりした活性炭マスクを
買い込んで粗悪品を掴まされた僕は、キャンプファイヤーでどさくさに紛れて燃やそうと100枚近く持ってきていたのだった。
だが、ここは外。
その上、この地域には駅がなく観光客が来ないこともあり、一度も感染者は出ていない。
粗悪品のマスクなんているはずもない。
「使えねぇな」
そう呟いてマスクを捨てようとした瞬間に閃いた。
ミツルも同じ考えに行き着く。
「「ろ過フィルター」」
そうだ。これで水を作る算段が立てられる。
でもその前に荷物の確認をせねば……
そうしてリュックの中身を出していくと最終的には、これだけのものが出てきた。
────────────
マコトのリュック
・私服(Tシャツ・ジーンズ・上着・帽子)
・エプロン
・マスク
・三角巾
・活性炭マスク×100(箱入り)
・手提げ袋
・スマホ
・時計
・筆記用具
・お弁当箱
・水筒
・ノート×5冊
・数学の教科書
・地図帳
・ティッシュ
・ハンカチ
・タオル
・ぬいぐるみ
・少女漫画
・テスト×10枚
・プリント×30枚
・ガムテープ
──────────ー
「通りでリュックがいつもより重たいわけだ」
僕は納得した。
「お前……こんなん学校に持っていったら、
1発で生活指導反省文コースだぞ」
ミツルは、唖然としつつも僕に問いかける。
「なんで数学の教科書と地図帳?」
「大嫌いな教科の本をキャンプファイヤーで
一緒に燃やそうと思ってね。ふふふ」
「お前、またそんなことを企んでたのか」
ミツルは呆れ顔だ。
生徒指導室の常連となりつつあるマコトは先生など怖くないのである。
そんなマコトがやらかす度に何かと助けてきた優等生のミツルは、
「なぜマコトと絡むのか」とよく聞かれる。
しかし、まさか「異世界転生小説好きの同士」
などと言えるはずもなく、
「同じクラスメイトじゃないか。助けるのは当然だろ」と言って周りからの評価はうなぎのぼりなのだが、本人は知る由もない。
そんな話はさておき、これで荷物の確認が終わった。まずは飲み水を得なければ。
2020.10.21 感嘆符・疑問符を追加しました。
2020.11.01 文章を整形しました。
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