【第6話】努力、努力、そして努力
「ねえ!何なのよ!誰よこの男!」
甲高い叫び声がキンと耳をつんざく。
オレはうっすらと目をあけた。
どうやらショートと誰かが言い争いをしているようだ。
「彼氏なの!?なんなの!?」
「友達だって・・・」
「聞いてない!」
「最近仲良くなったんだよ・・・」
ショートはこの世界でもめんどくさそうな女の子に好かれているのか。
さすが元モテ男・・・。
「あ、タイチ起きたんだ」
ショートが顔を覗き込んできた。
(うおっ!)
思わずドキッとしてしまう。
中身はあの幼馴染(男)だとわかってはいても、
今のショートの姿はかわいらしい黒髪の女の子だ。
女の子に慣れてないオレには少し刺激が強かった。
「なに赤くなってんのよ!ショートのこと好きなの!?やめてよね!」
小柄な女の子がショートの後ろでキャンキャンと吠えていた。
頭の高い位置で結んだ2つの派手なピンク色の毛束が、
体に合わせて激しく揺れている。
「いや、オレはびっくりしただけで・・・」
「まあまあ、落ち着けってメイ。タイチと仲良くしてやってくれよ」
「イヤよ!こんな男となんか仲良くなりたくない!」
思いっきり拒絶されてしまった。
女の子にそこまで拒絶されたのは初めてだったので、かなり悲しくなる。
そんなオレとは対称的に、
怒りで大きな目を釣り上げてこちらを睨みつけてくるメイ。
「なんかわかんないけど・・・ごめん。オレ、タイチって言うんだ。
キミに危害を加えるつもりはないから・・・友達になってくれないかな。
これから一緒に旅する仲間なんだし、な?」
「・・・」
小さな頬を膨らませてだんまりを決め込むメイ。
なるほど、性格に難ありとはこのことか。
困り果てたオレは、ラノベでよくある“頭ポンポン”をして
メイの好感度をあげようと思いついた。
「メ、メイちゃんと仲良くしたいんだ。いいだろ?」
メイの頭のほうにスッと手をのばす。
すると突然メイがすばやく動いた。ブワッとオレの体が中に浮く。
どうやら差し出した手を捕まれ、技をかけられてしまったようだ。
この子は柔道家か何かなのか・・・!?
ドスン!と体を地面に打ち付けられたオレは痛みでうめいた。
「い・・・ってぇ・・・!うぅ・・・・!」
「おい、メイ!タイチは弱いんだから暴力はダメだって」
ショートが慌ててオレを起こしてくれた。
骨が折れるかと思った・・・。
「こんな弱い男がショートの隣にいるなんて許さないんだから!」
「はー・・・前途多難だ・・・」
ショートがため息をつく。
(ため息つきたいのはコッチの方だ・・・)
ハーレム以前に、女の子と仲良くなることすら難しいだなんて・・・。
いや・・・でも・・・オレは・・・
せっかく異世界にきたんだ・・・!
絶対に・・・・
絶対にオレ専用ハーレムを作ってやる・・・・・!
そのためにはどんな困難が待ち受けていようとも
オレの努力と根性で打ち勝ってやるぜ・・・・・・・・・・・・・・!