【第3話】2つの選択
気がつくと、どこかの草原の上にいた。
病院じゃない・・・?
一体どこなんだ、ここは。
ゆっくりと立ち上がり、あたりを見渡す。
透き通るような青い空、白い雲、そして爽やかな風が草原を撫でる。
人はおろか、動物の姿も見えない。
おかしい。
さっきまで・・・
「あれ?」
オレはハッとして、
急いで自分の体に触れた。
車とぶつかった記憶はある。
が、体に傷は見当たらないし、痛みもない。
まさか・・・オレはあの時死んで
・・・天国にきてしまった・・・のか?
オレが混乱していると、
天から声が聞こえた。
『目覚めたようですね』
「!?」
驚きのあまり声がでなかった。
どういうことだ?
どうして天から声が聞こえるんだ。
『田中タイチさん、あなたの疑問に答えましょう。
まず、ここは天国です。
そして、私は神。
あなたは車にぶつかり、死にました。
よって、次の世界に転生する運びとなりました。』
「やっぱりオレ、死んだのか・・・」
思ったよりあっさりと自分の死を受け入れることができた。
いろいろと衝撃がすごかったからなのか。
それとも転生することができると言われたからなのか。
天から聞こえる声、もとい神の声はこう続けた。
『次の世界は2つあります。
1つ目は、元いた場所と同じような文化がある世界。
2つ目は、魔法や魔法生物がいる世界です。』
魔法!?
ファンタジーワールドってことか。
元いたような世界よりはきっと刺激があって楽しいだろうな・・・。
もしまたショウトみたいなやつと仲良くなって、
なんかあったときは・・・魔法があれば今度は助けられるかもしれない。
『ちなみにあなたの幼馴染、ショウトさんは2つ目を選びましたよ。』
「え!?」
ショウトは魔法がある世界に行ったのか!?
っていうか・・・
ショウトは死んだのか!?
『詳しくは言えませんが、
あなたが今立っているこの天国にショウトさんは現れ、
転生していきました。・・・どうしますか?』
どうやらオレは、ショウトと同じ異世界に転生できるようだ。
それだったら・・・
「オレもショウトと同じ世界に行く!
何があったのか聞きたいし・・・今度はアイツを守りたい。」
『わかりました。
それでは、あなたの次の世界に転生します。
ゆっくり目を閉じてください・・・・』
次に目を開けた時、
あなたは元いた世界でも、天国でもない世界に生まれおち、
新しい人生を歩むことになるでしょう。
オレは草原に横たわり、静かに目を閉じた。
次の世界では、もっと――――――――