2 神の襲撃
太陽の光が遮られ、村が巨大な影に覆われる。
村の村長である年老いた男は外の異様な雰囲気に気づき、家を飛び出した。
空に、巨大な何かが浮かんでいたのだ。
異変を察知した男は家の中に舞い戻り、娘のハイラに告げた。
「ハイラ、ユノを連れて地下に隠れていなさい。絶対に出てきては駄目だ」
そして男は弓を手に、家を飛び出した。
その数秒後、村に神の鉄槌が下る。
繁栄する人間たちを懲罰するかのように、空から降り注ぐ無数の光の柱が、村を押し潰していく。
その光景を窓から確認したハイラは、まだ小さな少女――ユノの手を引いて地下室へと逃れた。
ユノは母親であるハイラに抱きつき、身を縮める。
次の瞬間、大地を揺らすような爆音。それと同時に家が揺れた。
それから数分後、辺りが静寂に包まれる。すべての音が消え、村に静寂が戻ってきた。
ハイラはユノの手を引いて地下を出る。大きな揺れのせいで、家の中は物が散乱していた。
父親の姿がないことに気付き、ハイラは家を飛び出す。
扉を開けた先に広がっていたのは、変わり果てた村の姿。
活気に満ち溢れていた村は瓦礫が散乱する廃村と化していた。人の姿はなく、静寂に支配された村。
ハイラは言葉を失い、その場に崩れ落ちた。
神の鉄槌によって、廃村となった村には、二人だけが残された。
村は静寂に包まれる。
まるで、最初から何もなかったかのように。