命の危険
「全員、私たちのこと殺そうとしてるみたい…」
「は?」「む?」「えっ」
空気が一瞬にして重くなる。俺にはこの状況がわからない。
殺気を一切感じれないからだ。しかし、こるねの緊迫した
気持ちはひしひしと伝わってくる。
魔剣を持ってるあのこるねが、だ。
砂嵐の音が妙に鬱陶しい…
すると正面から足音が聞こえた。
ザッ
「誰!?」
「そんなに怒鳴らなくてもいいだろぉ…?」
足音が止まった。
姿は砂嵐で覆われて見れない。
視界が悪い。しかしシルエットだけはわかる。
彼はどうやら帽子を深く被っているようだ。
「おい、お前ら。死にたくなかったら
俺らのいうこと、聞いたほうがいいぜ。」
男性の低い声が頭に響く。こんな状況に限って
謎にちょっと怖い人の声が聞こえるんだよ…
こるねが後ずさりする。
「…お前たち何者だ?」
「俺らはただの盗賊だ。」
「盗賊…?」
実に砂漠のど真ん中にある富豪の街にいそうな種類の
悪役だ。けれど本気で殺しにきてる感じはいない…
こるねはなににそんなに怯えてるだろう…?
「だがしかし、俺らはただの海賊じゃねぇ。」
盗賊は手を大きく広げ天を仰ぐ。
「生の悪魔様の信仰者だ。」
「生の悪魔…?」
「やはりか…」
こるねが魔剣を強く握りしめている。
…まさか死の悪魔と生の悪魔、対立してる?
「そして奥にいるお嬢ちゃん。その剣、死の悪魔のものだろ。」
明らかにこるねに対して何か言いたげだ。
少し思ったのだが…夢の世界で「悪魔」とか「死」とか「生」とか、よくわからなくないか?そもそも悪魔ってなんだ?
しかし今は情報も掴みにくい、その話題は後だ。
「リジュラルの方から聞いてるぜ。お前、そうとう
やばいやつなんだってな。」
「…だからなに?」
「別にお前らを殺しにきたわけではない、俺らは盗賊だ。
命を盗みにきた。」
いや殺そうとしてるじゃん…これまた戦闘?
どうせこるねが圧勝するんだろうけど…
するとこるねが目配せしてきた。
瞳は一瞬右の方を指した。まさか逃げるのか?
「戦わないのか…?」
「…正直勝てない。死と生は矛と盾。それと同じ」
「…戦っても無駄ってことか…!」
琉兎は勢い良く右の方へと走り出す。
そしてこるねたちもあとに続く。
「逃げたぞ!追え!」
正面に住宅街らしきところだ。いろんな人巻き込んじゃうかもだけど…突っ切るしかない…!
「逃げるのですね…!じゃあバフかけます!」
ルナは走りながら杖を構える。
そして琉兎たちは住宅街のど真ん中を縦横無尽に走り抜ける。
「ひゃ!」
「ごめんなさい!」
時々住民に迷惑をかけながらも、かろうじて逃げれている。
「え、えっと。我輩は何をすれば?」
すると魔女が少し冷や汗をかきながら聞いてきた。
「魔女、あんた索敵できる?」
「まあ…浮遊魔法なら…」
「じゃあ浮遊魔法で、いま追ってきてる人たちの人数数えて!」
「わ、わかったのじゃ!」
魔女はものすごいスピードで上へと上がる。
そして急に足が速くなった。
「バフできました!」
「ありがと…!」
そして琉兎たちはさらに信仰者たちとの差を広げる。
すると遠くに少し高い建物が見える。かなり立派だ。
しかしよく見てみると、一番高いところに誰かが
仁王立をしている人が。フードを被っている。いや
何してんだよあそこで。
「とりあえず、あのやばい階段の上にある高い建物を目指そう!」
「「「わかった!」」」
*
「この国にきて早速追われてるなぁ…姉様から
かなりなやり手と聞いてるんだけど…
見当違い…?」
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