富豪の国 ルイン
〜富豪の国 ルイン〜
「ちょっと待ってくれない?」
「ん?どした?」「どしたのじゃ?」
「あのさ、琉兎は別に汚れても良さそうな
服着てるけどさ…私ワンピースみたいなやつ
着てるからさ…」
「いや俺も砂で汚れたくないわ」
ジャパル国を出てから1週間半後、
俺たちは次の国、ルインへと向かった。
ここはまさに金持ちの領域。
砂漠のど真ん中に建てられた巨大なインド風の
建物は、まさにアラジンの街を彷彿とさせる。
しかし、俺たちはそんな国の情報とかは
関係なく、謎に服が汚れると言う理由で
めちゃめちゃ困っている。
前から思っていたのだが、
俺はこの世界に来た時、服はそのままで、
なんなら寝る時だからパジャマだった。
その後ヘルタで服を買ったのだが、
この世界、本当に夢だとしたらパジャマで
この世界に来るとは思えないんだが…?
普通夢の中での服とかよくわからんだろ…
ちなみに今俺が来ているのは上に
分厚いジャージを着て、下はぶかぶかの
謎のジーンズを着ている。ヘルタの時にもらった
装備はあまり使っていない。
それに対してこるねは白いワンピースに
右手には魔剣、左手には荷物を持っている。
「なんで私、戦い必須の旅にワンピースで来たんだろう…」
「まあまあ、次は富豪の国です。お金稼いで、
新しい服でも買いましょう。」
ルナがこるねをめちゃめちゃ慰めている。
「我は別に大丈夫なのだがな…」
すると、
「こるね、ついた…けど?」
琉兎たちが立ち止まる。
ついに富豪の国に…!と思ったのだが、
目の前に広がっていたのは、
「…え?人…いなくね?」
「しかも、建物が壊れてますね…」
屋根に穴が空いた家に、道に転がった商売品。
そこには、静けさだけが残る「富豪の国」の名前からは
想像もつかない「無」があった。
「ここが本当に富豪の国なのか…?」
魔女さんが目を見開く。
琉兎たちはゆっくりと国の中に入って行く。
この国にも門はあったが、門番はいないし
門も開けたままだった。
明らかにこの国では「なにか」が起きている。
目の前には小さな広場。所々に屋台があり、
いろんな人たちが商売していた面影がある。
琉兎たちは広場の真ん中にたった。その時、
「…琉兎、周り、気配。たくさん人が隠れてる。」
「え?」「む?」「はい?」
「しかも…
その人達、全員私たちを殺そうとしてる…
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