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【コミカライズ】前世は保育士、今世は悪役令嬢?からの、わがまま姫様の教育係!?〜姫様のお世話で手いっぱいなので、王子様との恋愛はまた今度!〜  作者: 沙夜
わがまま姫様の教育係編

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元悪役令嬢とヒロイン4

すみません、今朝は寝坊して投稿できませんでした……笑

* * *


私は、神代(かみしろ) 友梨。


十二歳、どこにでもいる普通の小学六年生。


小学校の卒業祝いにと買ってもらったスマートフォン、ずっと欲しいってパパとママにおねだりしていたけれど、やっぱり買ってもらえて良かった!


友だちともたくさんおしゃべりできるし、ネットで色んな情報も知ることができる。


それに、ゲームだって。


課金までは許してもらえないけれど、無課金でも十分楽しめる。


スマホを持つようになってすぐ、私はひとつの乙女ゲームに夢中になった。


“ヒロイン転生〜イケメン達と真実の愛を〜”というゲーム、対象年齢が十二歳以上という、乙女ゲームにしては低年齢から楽しめるものだ。


私はまだそういうことが良く分からなかったけれど、過激なシーンがなさそうだし、これならってママが許してくれた。


その代わり、キスシーンはたくさんあったけどね。


でもお年頃な私は、それだけでもドキドキで、どんどんこのゲームにのめり込んでいった。


いつかこんな恋がしてみたい、そんな憧れを持って。


けれど、このゲームを気に入った理由は、それだけじゃなかった。


『ちょっとあなた、随分と馴れ馴れしくはない!?』


いわゆるゲームの悪役令嬢、ディアナ・ブルーム侯爵令嬢。


ゴージャスでスタイル抜群の迫力美人、けれど母親との死別という心に闇を抱えた設定がある。


実はチートなことを隠しており、ハッキリした性格でヒロインにキツくあたることもしばしば。


そんなディアナに、私は憧れていた。


良くも悪くも平凡な容姿と能力、学校の成績だって平均値前後。


人と争うのが苦手であまり自分の意見を主張できない性格。


そんな私とは、正反対。


ディアナみたいな人と仲良くなれたら、私も人生変わるかも。


私の推しはディアナの婚約者のアルフォンス、もし私がヒロインだったら、三人で仲良く暮らすのって楽しそうじゃない?


異世界だもの、第二夫人ってのもアリかもね。


ヒロインみたいにかわいくてみんなから好かれていたら、私だって自信が持てるようになるかも。


そんな妄想を膨らませながらゲームをプレイしていた。


そうして中学一年生になったばかりの春、習い事帰りの交差点を渡りながら、私はゲームに夢中になっていた。


ながらスマホ、危険だってニュースでもよく流れていた。


でも、そんなのみんながやっていること。


危険かもしれないけど、危ない時はちゃんと直前で気が付けるはず。


相手だって、避けてくれるはず。


……完全に油断していたの。


自分は大丈夫だって。





『わ、たし……』


急ブレーキの音に目を思い切り瞑って、身体にものすごい衝撃を受けたことは覚えている。


でも、そこからの記憶はない。


気が付いた時、私はもう、“ユリア”だった。


『ええっ!?ここ、ゲームの世界と同じよね!?えっ、ちょっと待って、私、ヒロインのユリアになってる!?』


しかもゲームのオープニング、高等部一年の途中入学の日だった。


死んでしまったのだという悲しみよりも、興奮の方が勝っていた。


鏡を見れば可憐な美少女、ほっそりとしていてスタイルも良くて、すれ違う男子生徒みんながこちらを振り向く。


大好きなゲームの世界に転生できたことに、有頂天になっていた。


そうして一年が過ぎ、ようやくアルフォンスの攻略が進み、ディアナ様と接触できるようになるはずだった。


『……おかしいなぁ。ディアナ様、なんの嫌がらせもしてこないんだけど』


私は不思議だった。


オープニングからゲームと同じ流れで進んでおり、アルフォンス達、攻略対象者の好感度上げも順調だった。


夏季休暇が終わる頃には、攻略対象者達はすっかり私に夢中になっていた。


それなのに、“悪役令嬢ディアナ”が、ちっとも動かない。


『バグってやつ?うーん……。ま、いっか。取り巻き達から色々言われたのは確かだし、ちょっと大げさにアルフォンス達に言いつけよっと』


そして予定通り、一番好感度の高いアルフォンスとの婚約破棄イベントを起こそう。


そうして絶望したディアナ様に、私がこう言うの。


ディアナ様にも事情があったのですよね。


幼い頃からの苦しみを抱えて、ずっとひとりで立ってきた。


そんなあなたと、私は仲良くなりたい、ううん、なれるはずです。


そう言って、蹲るディアナ様の手を取るの。


ディアナ様の罪を受け入れて、一緒に頑張っていきましょうって、励ますの。


『そうすれば、心が綺麗なんですねって周囲の人達には褒められるし、ディアナ様も私に感謝するはず。前世の夢だった、三人で仲良しライフの実現よ!』


そう息巻いていた私は、気付かなかった。


悪役令嬢が私と同じ転生者だっていうこと。


幼等部の子ども達が私の邪魔をするなんて、こんなシーン知らない。


隠しキャラのクラウス様まで現れて、私をそんな冷たい目で見るなんて。


『なぜ、どうして……?私は……』


心臓がうるさく鳴り響く。


攻略対象者達が次々と拘束されていくのを呆然と見送る。


私は、ヒロインなのに。


そっとディアナ様の方を見ると、私と同じように驚いている表情が見えた。


どうして?ディアナ様。


私はただ、あなたと仲良くなりたかっただけなのに。


ルート通りに進んで、みんなから好かれて、悪役令嬢も救って、私は本当のヒロインになるの。


こんなバッドエンド、知らない。


知らない、信じたくない。


教師に別室へと連れられて行く中で、私はそんなことを呟いていた。


* * *

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