表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】前世は保育士、今世は悪役令嬢?からの、わがまま姫様の教育係!?〜姫様のお世話で手いっぱいなので、王子様との恋愛はまた今度!〜  作者: 沙夜
第一章 悪役令嬢編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/97

まさかの悪役令嬢ですか!?2

「――――それでは、卒業生のこれからの輝かしい未来を願って。乾杯!」


長々しい学園長の挨拶が終わり、ようやく乾杯となった。


私がひとりで入場した時には周囲がざわっ!とさざめいたが、それも一瞬のこと。


今はもう、落ち着いたものだ。


私があまりにもあっけらかんとしていたからかもしれないわね。


おどおどしていたりイライラしていたりしたら、周りも騒ぎ立てるものだもの。


まあアルフォンスも見つからないし(見つける気もないが)、乾杯の挨拶も終わった。


あとは卒業生達のダンスだけ見学したら、もういつ帰っても良いだろう。


くぴっとノンアルコールのジュースを口に含み、余った時間は料理を楽しもうかしらと考える。


壁の花よろしく端っこの方でダンスを眺めて、料理を(ついば)もう。


空いたグラスを給仕に渡し、料理が乗せられたテーブルへと向かおうとした、その時。


「あ、でぃあなさまだ!」


「ほんとだ!でぃあなさまー!」


「?あら、みんな」


かわいらしい元気な声に呼ばれ振り向くと、そこには幼等部のみんなの姿があった。


そうか、卒業パーティーは生徒全員参加。


幼等部のみんなも含まれていたんだった。


「こんばんは。まあ、みんな今日はとても素敵ね。ふふ、かわいらしい紳士・淑女さん達、ご挨拶してくれるかしら?」


幼等部の子達も今日はおめかしをしているので、せっかくだからと貴族的な挨拶をふってみる。


すると最初はちょっと怯んだものの、みんな上手に挨拶を披露してくれた。


「みんなとっても上手ね。毎日先生のお話をしっかり聞いて練習しているのが分かるわ。大きくなったら、きっともっと素敵な紳士と淑女になれるわよ」


この無駄に豪奢なドレスのせいでいつものように屈むことはできないので、少しだけ前屈みになって子ども達と目線を近付ける。


そうしてにっこりと微笑めば、子ども達も花のような笑顔を返してくれた。


すると、そのうしろから子ども達の父母らしき方々が集まって来た。


「まあ、あなたがブルーム侯爵令嬢ですか?子ども達からお噂はかねがね……。お世話になっております」


「とても優しくて素敵な方だと、教師達からも聞いておりますのよ。今日お会いできるのを、楽しみにしておりました」


「え、ええ。いえ、こちらこそ、お会いできて光栄ですわ……?」


そう保護者の皆様が次々と私に挨拶に来てくれて、予想外のことに困惑する。


卒業パーティーは基本的に学園の生徒のみが出席できるのだが、幼等部の子ども達はさすがにひとりで参加するには幼すぎるため、親子同伴での出席となっている。


毎日楽しそうだの、落ち着いて話が聞けるようになっただの、子ども達のことを嬉しそうに話してくれ、私に対してもとても好意的だ。


癇癪令嬢の名を知らないわけではないだろうが、子ども達や教師達の話を聞いて半信半疑だったけれど、実際目にしてみて改心したのだと思ってくれたのかもしれない。


子ども達と遊んでいることも、感謝されるためにやったわけじゃないけれど、こうして喜んでもらえるのは素直に嬉しい。


ぼっちにはつまらないパーティーだと思っていたけれど、まさかこんな素敵な誤算があるなんて。


来る前は嫌々だったけれど、来て良かった。


そう、心からの笑みを浮かべた時だった。


「見つけたぞ!こんなところに隠れていたのか!」


高圧的な声、今度もなんだかものすごく聞き覚えのある声だわと思う。


ただし今度は悪い意味で、だけれど。


恐る恐る振り向くとそこには、予想通りの人物が仁王立ちしていた。


「貴様には、このような祝いの席を楽しむ権利などない!」


人を見下すような態度、今日もまぁ私を苛つかせてくれるものだ。


「聞いているのか!ディアナ、ブルーム!」


「……そう大声を出さずとも、きちんと聞こえておりますよ。……婚約者殿(アルフォンス様)?」


あんたこそエスコートすべき婚約者ほっぽり出してどこ行ってたのよ。


私が隠れていたんじゃなくて、あんたが勝手にいなくなったんじゃない。


そう内心毒づきながら、にっこりとアルフォンスに笑顔を返す。


ざわざわと周囲から戸惑いの声が零れる中、ゆっくりとアルフォンスに向かって歩いて行く。


そして、その少し前でぴたりと止まって目を見開いた。


……なんとなく予想はしていたけれど、やはり。


「あら。……かわいらしいご令嬢と一緒でしたのね?」


そう、アルフォンスの隣には、その髪色に良く似た、パステルピンクのふんわりとしたシルエットのドレスに身を包んだ、ユリア・フランツェン子爵令嬢が立っていた。


いくら私と不仲とはいえ、婚約者を差し置いて他の子と……。


と眉を顰めた時、はたとひとつの考えが頭に浮かんだ。


ちょっと待って。


この構図、この展開。


まさか、私は。


そして、この後アルフォンスが口にする台詞は……。


はっとして顔を上げると、にやりと嫌な笑いを浮かべるアルフォンスと目が合った。


「ディアナ・ブルーム!貴様との婚約を破棄する!」


まさか、これって。


こ、“婚約破棄イベント”ぉぉぉぉ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ