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92/216

92 把握突破


「いやいや……これくらいはそこまで難しくないでしょ。ルナスも下処理はしてくれたんだし」


 冒険者学校で最低限のサバイバルは学ぶ……まあ、身についている人って案外いないらしいけど。


「ただ、倒した魔物を全部食べていく訳にはいかないから程々にな。ついでに迷宮に住み着く魔物だから毒とかも少しはあるんだ。まあ毒抜きするけど」


「そうだな。やっとの事、常時勇者の怒りが出来る環境なのだ。どんどん進んで行くぞ」


「それも良いんだけどクマールのスキルやLv上げも段階を追って行かないと」


 幾ら安全な状況とは言ってもクマールは俺達の中で一番弱い。

 どんどん進んで思わぬ所で致命傷を受けては非常に厳しい。


「ヌマ?」


「わかっている。クマール、リエルを師としてスキルをどんどん磨いて行くのだぞ」


「ヌマーヌマママ」


 ルナスの言うことがわかったのか、クマールは把握を常時展開し始める。


「ヌマ?」


 で、なぜか後ろを振り返り、首を傾げる。

 そっちには何も居ないぞ?


「ヌマヌマ」


 クマールも特に気にすることなくそのまま顔を前に向けた。


「では行こう。どんどん行くぞ! 次は魔法で一掃する。リエル、他の冒険者が居たら教えてくれ」


「ああ」


 28階層は時々冒険者と遭遇することがある階層なのは間違い無い。

 中級上がりの上級冒険者パーティーって事になるんだけどな。

 そんな訳で俺達は迷宮内をどんどん進んで行く。

 もちろん罠や宝箱、薬草なんかも発見して処理を行いつつだ。

 遭遇する魔物もルナスはほぼ一撃で仕留めるようになっている。

 手始めに炎の魔法、雷、氷と一頻り使える魔法の感覚を再確認するかのようだ。


「ハイホーリーファイア!」


 今度は聖なる炎で5体の魔物を一掃してしまった。


「うーむ……この階層では一発で倒してしまうな。やはり歯ごたえが無い」


「そんなに無いなら勇者の怒り無しで戦うか?」


「ここまで楽だとそれも一つの手であるが……」


 という所でパチパチパチ……っと拍手する音が聞こえてきた。


「いやぁ……凄いね。素直に賞賛するよ勇者ルナス」


 何!?

 俺の把握を抜けて近づく奴がいた!?


「何奴!」


「おっと、これは失礼だったね。僕は君達と敵対するつもりが無いからこうして姿を現したんだ。どうか話を聞いてくれない?」


 っと、離れた所から声がした。


 くっ……しまった。

 俺の把握はやはりというか、専門性のあるスキルを持っている相手に気付く事は出来ない。

 把握というのは範囲が広いだけで詳しいというスキルじゃない……これが俺の才能が低いと言われる所以だ。

 今回もあちらから現れただけで、そのまま離脱されたら気付かなかっただろう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] クマールが気付いたのはあの亡霊がいたからかな?
[良い点] 謎の追跡?者に、なんとなくとはいえ主人公より早く気付いていたクマール! 主人公の下位互換やただのパーティのマスコットではないという片鱗を見せ始めましたね! 可愛いし役に立つ! [一言] そ…
[良い点] クマールも、リエルが気付いてないなら気のせいかと思っちゃったのかな。
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