91 キラーラビ
「えっと……魔物の気配、今回は3体で……キラーラビ、まっすぐ進むと2分後に遭遇」
「ふむ」
「ヌマ?」
「クマール、お前の把握はファーストスキルだろう? 激しく格上な場所だけど、どこにいるのか……しっかりと把握してスキルを磨くんだ」
屈んでクマールにどこに魔物がいるのか、どこに何があるのか……俺が把握出来る範囲でヒントを促す。
スキルは使い込むことで成長をする。それが身の程に合わない程の場所であるなら成長にボーナスが掛かると言われているんだ。
把握は周囲の把握に始まり、道具や罠など範囲がとても広い反面、より専門性の高いスキルに劣ってしまう短所がある。
それでもしっかりと習熟するのは意味がある。
器用貧乏でも、感知できる精度が上がるのだから。
「ヌマ! ヌマママ……」
クマールが自身の把握を展開していく……魔物は徐々にこっちに向かって歩いて来ている。
特に気配を消すような魔物では無いので把握出来るはずだ。
ハッ! っとクマールが俺の指示した方角の魔物を把握した顔をした。
「ヌマ……」
尻尾を震わせて強い魔物だと察したのだろう。
大丈夫だと俺はクマールの頭を撫でて落ち着かせる。
「よし、それじゃやろうか、ルナス」
「おう! 任せろ! この時をどれほど待ちわびたか! 私は最強だー!」
っと、魔物がこっちに気づく直前、俺は死んだフリを行う。
「ヌマ!」
クマールも俺に合わせて死んだフリを行い、ルナスがハイテンションに笑いながらキラーラビへと急襲を仕掛ける。
「ははは! 食らうが良い! 我慢したので存分に遊ばせてもらうぞー!」
相変わらずルナスはハイテンションに挑んでいくなー……久しぶりの感覚だからかキラーラビの突撃なんかを華麗に躱して追いついて空中で切り刻みながら的確に仕留めた後に解体をしている。
蹂躙を超えた……なんだろう? 空中解体?
突撃したキラーラビ達は仲間が一体何をされたのかよくわからず次々と肉と骨と皮へと解体されて逝ってしまった。
「ふむ……こんなモノだろう」
戦闘終了と共に俺は死んだフリを解除っと。
ルナスは解体したキラーラビ達の素材を集めて持ってくる。
「リエル、肉の確保が出来たぞ」
「血抜きは……まあ、あんな解体されたら一気に飛ぶか」
キラーラビの体は自身が死んだ事を理解するよりも早く血の処理をルナスにされてしまった訳だしなぁ。
「熟成させて三日後辺りが食べ頃かな」
階層によるけど迷宮内は若干温度が低めだ。
ルナスに氷の魔法を使ってもらって処理をすればキラーラビのジビエが出来る。
「うむ! 君と一緒だと迷宮で食べ物に困らんぞ」
「ヌマ!」




