90 パンプキンプラント
「ガァアアア!」
ルナスが近づいた事でバレバレな擬態を解いて太い蔓で叩きつけを行ってくる。
「ふん!」
スパン! っとパンプキンプラントの蔓が跳ね飛ばされる。
「ブ!」
パンプキンプラントが大きなタネを吹き付けてくるがそれもルナスは弾いてパンプキンプラントへとドンドン近づいて行った。
ちなみにこのタネは植えるとマジックパンプキンってカボチャが実る。
魔物とも食料とも言える微妙な代物でパンプキンプラントみたいに凶悪では無い。
「サクッと頂くぞ! はあああ!」
パンプキンプラントの懐に入ったルナスが剣を差し込んで一気に切り裂く。
「ガア――」
バキャッとパンプキンプラントは割れて絶命、動かなくなった。
「チチチチ」
バササササっと大量に集まっていたハニーサポートがパンプキンプラントが塞いでいた先へと飛んで行ってしまった。
きっとあっちには大きなジャングルビーの巣があるんだろう。
ジャングルビーの羽音が聞こえてくる。
「よーし、パンプキンプラントの実も確保だ!」
「ヌマー!」
やったぞー!とばかりにルナスが倒したパンプキンプラントの欠片を掲げて俺にポーズを取る。
クマールも合わせてルナスが切り飛ばした蔓の先に生えていたマジックパンプキンを頭に乗せて持ってくる。
似たもの同士というか何というか……。
「今夜は豪勢に行けるな!」
「そう……だな。あんまり荷物を増やしすぎるともって行ける量の限界を迎えるから程々にな」
「わかっている。これで食料は十分だ! 一気に潜って行こうでは無いかー!」
「ヌマー!」
なんとも元気なルナスだ。クマールもだけど。
って事で俺達はそのまま潜って行った。
サクサクと手慣れた感じに俺達は潜って行き……28階に差し掛かった頃の事。
「リエル……そろそろ……ふふふ……ヤらないか?」
もじもじと恥ずかしそうに手頃な段差に座りながらルナスが言った。
「ヌマヌマ」
「……」
いや、何その卑猥な事をこれからしないか? って誘っているみたいな言い方。
激しく勘違いを誘発させているその態度が非常に気になるんだけど?
中身は勇者の怒りなのでやらないとは思うけど、他の所でそれをやるなよ?
というか、そういう所だからな。
「まあさすがにこの先はルナスに任せるよ」
まだ戦えない程じゃないけど、ここから先は魔物の耐久力が加速度的に上がっていく。
ルナスに任せた方が楽に進めるだろう。
ずっとルナスが望んでいた時なんだし、それまでずっと我慢していたんだ。
そもそも俺も別に勇者の怒り戦法を拒否している訳じゃないしな。
「ヌマー」
「よし任せろ!」
という訳で28階に入った所で勇者の怒り作戦へと入る事にした。




