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83 ブロマイド


「クマールのように新鮮な気持ちで挑まないとあっけなくやられかねないぞ」


「ふふ……そのクマールが私達のようになるのが実に楽しみだ」


 おい、そんな若々しい子が汚れてしまった果てを予測して笑うみたいな事を言うなよ。

 なんだか俺達が外道みたいじゃないか。


「……成長してこの程度の階層はまるで怖くないって思うようになるのを楽しみって事にしておくよ」


「ふふふ」


 ルナスも暇なのか無駄話をしたいご様子。


「クマールが立派に成長したら……ルナスと二人で迷宮に行けるようになったりしてな」


 美少女勇者とペットの魔物の組み合わせって絵になる気がする。

 むしろ後ろで荷物持ちとばかりにリュックを背負う俺は……絵画とかだと居なかった事にされそう。


「何を言っているのだリエル、私は君がいないと落ちこぼれの勇者だぞ。そんな事は絶対にあり得ない」


「ヌマー」


 否定しないでくれよ。

 クマールが可哀想だろ。


「むしろリエル、君とクマールこそ絵になるのではないか? 私はクロスボウを構える君と悠然と立つクマールも絵になると思っているぞ」


 ルナスがなんか俺の機嫌取りとばかりに提案してくるのでその構図を想像して見る。

 うーん……レンジャーとウルフ、ファルコンの絵とかかっこいい感じに描かれたブロマイドとかは見たことがある。

 有名冒険者ともなるとそう言ったグッズを売り出して収入にしている人も居るからな。

 美形ともなると尚更だ。


 ただなー……言ってはなんだけど俺の顔って割と普通にいると思うのだけどな。

 そこになんだかよく分からない東に生息する珍獣タヌクマを連れて構える俺。


 ……全く絵にならない気がする。

 少なくとも三枚目とか食いしん坊枠でパーティーのブロマイド売り上げで一番売れないタイプだ。


「絵になるか? 勇者パーティーブロマイドで販売されないタイプだろ」


 宮仕え勇者パーティーともなるとそう言った側面での販売なんかもあったりする。

 俺は選考外で自力で売って、売れなくて泣きを見るタイプなのは確実だ。

 ブロマイドには裏面にちょっとした個人情報とか好きな魔法、スキルとか載ってたりするんだ。


 懐かしいな。

 子供の頃、周囲のみんなが有名な勇者ブロマイドとかを見せ合っていた。

 憧れって感じで。


「前々から思っていたのだが、リエル。君はもしかして自身の顔に対する評価は低いのではないか?」


「え?」


 いや、顔が良いか悪いかの話だよな?

 うーん……。


「俺の顔って割と普通じゃない?」


「いや、少なくとも平凡な連中よりも顔は得をしていると私が断言しよう」


 っと美少女であるルナスが断言している。

 誰しもが美少女勇者と見惚れるルナスと、いるか居ないか印象に残らない自称レンジャーの俺。

 比べるまでも無いだろう?


「良いかリエル、確かに君は私を顔が良いと思っているかも知れないが、それはあくまで勇者としての価値を含めた評価だ。私は己の顔が良いという自信があるが、人気というのは強さにも付随するのだよ」


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