68 オーガ襲来
「ふむ、実に効率的な作戦だ。昔の私達だったらそうやってどうにかしたであろう」
まあ、昔ってのは俺も同意だ。
ドラゴン退治をする前の俺達だったらって感じで……あの頃よりも成長した今の俺達なら、ブレイブオーガを相手に遅れは取らないはず。
「ヌマ……」
並々ならない状況にクマールもわかっているようだ。
「では正面から私は行く。リエル、任せたぞ」
「わかってるよ。とりあえず俺は見えない所に潜伏して死んだフリをするさ」
「任せたぞ」
ここで切迫した表情をした所々に傷を負った者が駆け込んできた。
「伝令! 伝令! 奴等が村の方に出たぞ!」
「く……」
ルナスがここで立ち上がって言い放つ。
「村の者達はこの砦に避難させるんだ。ここなら村よりも守りに適している。避難が完了したら私が奴らを減らしながら砦に戻る。その時、奴らが愚かにもここまで来たら、ここで用意している装備と魔法で一気に畳みかけるんだ!」
う~ん、見た目が美少女で勇者なだけにルナスの発言力は凄いな。
前任の宮使え勇者パーティーが負傷して、多少現場から不満がありそうな状況でも問題無く機能している。
「新しく来た宮仕え勇者様だけどよ。出来るのか?」
「出来る出来ないではない。元より消耗していない私達は最前線で戦う手はずであろう?」
「そうだったな。任せたぞ! 宮仕えの勇者様」
一種の皮肉が入った声音で砦の冒険者はルナスに言う。
「うむ、任せろ! 私からすればオーガなど恐るるに足らず。それにブレイブオーガを倒してしまっても、構わないのだろう?」
なんだかんだで自分の思い通りの状況に持って行ったな。
そういう意味ではルナスも中々に策士だ。
「出来るものならやってみな」
「抜かすなよ? 少々時間を掛けた程度で心配してノコノコやってきて奴らに醜態を晒しながら私の足を引っ張るような真似はしないようにしてほしいものだ」
思えば所々ルナスって相手の神経を逆撫でするような事を言っていたんだな。
今ならその意図の裏に何があるかわかる。
さっさと砦に村人を連れて立てこもっていろ。
私が暴れるのに邪魔だから応援とか来るなよって言いたいんだ。
「フッ……では行くぞ!」
って事で砦の者達総出で村の防衛戦を始める事になったのだった。
「おー、いるいる。大量だな」
村へと行くとオーガ達がぞろぞろと村人達の家の中を漁っているようだった。
略奪って奴だな。
「ウガ? ウガ――」
俺は先制攻撃でクロスボウから矢を放って頭に当てて絶命させる。
「オーガを相手にこれだけ出来るとは……君の狙撃の腕も上がっているようだな」
「そりゃあ迷宮での蹂躙の影響もあるしね」
俺のLvも相当上がっているんだ。
持ってるスキルは三流だとしてもLvの高さでどうにかなったりもする。
ただ、俺だとブレイブオーガを相手にするには力不足なのは重々承知している。
勇者の怒りが使えるタイミングまで親玉はルナスに任せて雑魚の処理に徹しよう。




