62 山賊狩り
「嘆かわしい事だな。リエル、コイツらの中に賞金首は混じっているか?」
「ちょっと待ってな?」
急いでリュックに入れておいた手配書を開いて確認。
「あ、そこの奴とそいつが載ってる」
「そうか」
「何調べてんだオラァアア!」
と、飛びかかってきたリーダーの胸目掛けてクロスボウを早撃ちで射貫き、即座に装填……流れるように後ろにいる奴を仕留める。
「よっと!」
スパァ! っとルナスも合わせて取り押さえようと群がってきた山賊の腕を切り落とす。
「な、早い! ギャ――」
「う、うでが! うでがぁあああ! ガ――」
叫びに対して反応したのかそのまま首を切って黙らせる。
「な……」
ドサリと、切られた奴は驚愕の表情のまま血を吹き出して倒れた。
で、即座に5名ほど仕留められた所で山賊共が恐慌状態に陥り、薄ら笑いから恐怖に彩られる。
「動きに無駄が多すぎる。だから言っただろう? Lv差は無慈悲な程に開いている。無駄な抵抗はしない方が身のためだと……今更遅いがな!」
微笑を浮かべながら言うルナス。
そうなのだ。山賊共のLvと俺達のLvがあまりにも開きすぎていて戦闘と呼ぶのすら不可能な位には実力差がある。
おそらく、俺でもこの山賊達を返り討ちに出来るだろう。
迷宮32階に潜れる冒険者が一握りなのは揺るぎようが無いのだ。
マシュアが俺を迷宮で謀殺しようとしたのは、追放後にこう言った賊狩りなどをして簡単に金を稼げたりしないようにしたかったんだろう。
それ位のLvはあるからな。
「なあルナス、その今更遅いって言葉、気に入ったのか?」
「フハハハ……後悔は先に立たないという事を突きつけるのに良い言葉だろう?」
気に入ったんだろうな……。
言ったタイミングも言えそうだったから本来言おうとした言葉を途中で変えたっぽいし。
「出来れば私も楽しい戦いをしたいと思って居たが、君達ではそんな事をせずに終わってしまいそうだ。実に悲しい事だ。まあ、君達からしたらたまったモノではないのはわかっているが、己の未熟さを後悔するがいい」
「ヒィイイイ!」
「命ばかりは……命ばかりは!」
「た、助けてぇえええ!」
「や、やめてくれぇえええ!」
山賊共が命乞いを始めた。
先ほどの威勢はどこへ行ったんだろうか……手慣れた山賊行為に見えたし、同情の余地はまるで無いな。
「生け捕りだったら助けても良いんだけど……お前らの中に居た賞金首、討伐なんだよな」
つまり殺すことが大前提な訳で、罪状も強盗殺人、人身売買等てんこ盛りだ。
行為なんかも記されていて、詳細を調べると商人の馬車を襲撃して商人を殺害している。
完全に真っ黒な山賊共って事だ。
「お前らが傷つけた者たちも同様の言葉を述べただろう? お前らは聞き入れたか? 聞き入れていたら、こんな所にお前達は居ない。それが答えだ」
「ギャアアア――」
っと俺達は盗賊達を仕留めたのだった。




