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52 新たな橋


「ヌマ?」


 死んだフリを解除して……どう返事をしたら良いのだろうか?


「どうだ。飛んで超えるだけではないと証明できただろう?」


「そ、そうだな……」


「私達には帰りもあるからな。これで帰りも悠々と橋を渡れば良いのだ」


 なるほど。

 帰りも考えると確かに橋を作るのも悪い手ではないのか。

 けど、ルナス的には帰りに、やっぱり橋を作らない方が2回勇者の怒りを使えたのではないか? とか考えそうだよな。


「しかし物作りに励むというのも中々悪く無いものだな。何せ早く動けるのだからな! 戦うだけがすべてではないのだ!」


 高速で動けるからこそ出来る荒技なんだろうけど、それ以上に根気と集中力が必要になるんだがな……。

 何だろう。

 ルナスの行動一つ一つに死んだフリが挟まれるようになっていく気がするので一応注意しておくか。


「すごいとは思うけど……程々にな? ルナスも疲れるだろうし」


「私の心配をしてくれるのかい? 安心してくれ。力も4倍となっているからこの辺りの木など容易く切れるぞ。そもそもこの剣の切れ味を舐めてはいけないな」


 ルナスが持っているのはドラゴン素材の剣だ。

 岩でさえも容易く切れる業物な訳で……そりゃあ簡単に切れるだろうけどさ。


「他に考えた案だと氷の魔法で橋を作るなんて手もあるな。今の私なら出来るはずだぞ!」


 そんな力の限り言われてもなぁ……むしろこの森を凍り付かせたりしそうだ。


「中々悪く無い作業であった。満足したぞ」


 下手に戦うよりも充実感があったんじゃ無いかって顔をルナスはしている。


「ヌマー」


 橋に向かってクマールが近づいて振り返り気味に鳴く。


「クマールも進みたいようだ。では行こうではないか」


「そうだな」


 というわけで俺達は、森にある朽ちた橋のあった場所に新たに橋を架けて渡ったのだった。

 尚、橋の端に作ルナスと書かれているのを把握で見つけてしまったのだが……まあいいか。

 作ったのが勇者だし、箔も付くだろう。


 しかし、俺のレンジャーとしての仕事が取られてしまった。

 後で提案という形で俺の仕事を取らないでほしいとお願いしようと心に誓った。


「ルナス」


「なんだ?」


「さすがに道中の移動も早くしたいから勇者の怒りによる行軍は本気でやめてくれよ?」


「それは私も考えたのだがな。さすがに君が嫌がるだろうと思って却下しているさ……リエル、私は確かにこの高揚感を楽しんでいるがね。同時に君と……今ではクマールも居るがこの時間をかけがえのない時間だと思って大事にしているのだよ」


 おお……ルナスの返答に感動してしまう。

 効率だけがすべてでは無いとルナスも分かってくれているのか。

 お前はずっと死んだフリをしていろっていうのは……仮に死んだフリが優秀だと認められたとして、言われてしまう可能性は十分にあった。


 だが、それは果たして正しい形なのか?

 俺は……ただ死んでいないだけではないのか?


 という考えはある。

 もっと、死んだフリ以外で出来る事をしていかないと……。


「今日は行ける所までいくぞ。むしろリエル、君こそ道を間違えないでくれよ?」


「当然だ。ここで道を間違えるなんてレンジャーとしてルナスに顔向け出来ないからな」


「フフ……頼りにしている」


 これが俺の仕事なんだ。

 俺は把握と地図を確認しながら森を抜けるための道を進んで行くのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公は考古学者じゃなかったっけ
[一言] ずっと死んだふりでいいなら最初から死体持ち運べはいいだけだしな
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