05 パーティーの在り方
「え、ちょっと何を言ってるのよ! あなたがいなかったらこのパーティーはどうなるのよ!」
「そ、そうだ。我々は勇者パーティーなんだぞ!?」
途端に慌てるマシュアとルセン。
しかし、ルナスは感情の籠った声で告げた。
「パーティーとは苦楽を共にする仲間だ! 仲間が苦しい時ならば支えるのがパーティーというものだろう! 少なくとも私はそう思ってやって来た。だが、こんな危険な所で置き去りにしようとはどういうことだ!」
ルナスの強い口調に押されてしまったが、その通りだと思った。
理想論かもしれないが、パーティーってそういうモノのはずだ。
「君達は今まで共に戦ってきた仲間に邪魔だから死ねと言うのか! 私の前でよくそんなことが言えたものだな!」
「ルナス、この先はもっと厳しい戦いになるのよ? そんな奴よりもっと強くて有能な仲間を入れれば良いだけじゃない!」
「まだ言うか! これまで共にやってきた仲間をそうも簡単に捨てられる者なんて、もはや信じられる訳がない! リエル、彼等はもうダメだ。一緒に行こう」
「え? あ、はい」
唖然としているとルナスに手を取られたので、引っ張られるかの様に移動を開始する。
しかし、当然ながらマシュア達は付いてきて、必死な形相で語り掛けてきた
「ちょっと! わかった! リエルの追放は保留にしてあげるから!」
「そうだ。お前が仲間を大事にしているのはわかった。まだほんの少しの間だけリエルをこのパーティーに置いておいてもいい。だが、一時の感情で物事を決めてしまうのは利口ではないぞ」
この状況になってもまだ保留とか、どんだけ俺の事が嫌いなんだよ。
雰囲気に呑まれていたが、いくらなんでも酷過ぎるだろう。
そんな俺の心を代弁するかの様にルナスは言った。
「今更遅い! 仲間を大事に出来ない君達とはもう一緒になんか居られない!」
「ひっ……」
その言葉の怒気があまりにも強かったからか、マシュアとルセンは怯んだ。
彼女達が怯んで立ち止まっている間に、俺はルナスに引っ張られる様にその場を後にしたのだった。
「……ここまで来ればいいか」
マシュアとルセンを置いて迷宮内を移動して数十分程してから落ち着いた様子でルナスは言った。
先程の怒った彼女は居なくなっていた。
この頃になると俺も大分落ち着いてきたのか、心の整理が出来ていた。
うん、さすが勇者と言われるだけの事はある。
こんな場所に仲間を……いや、仲間だった者を置き去りにして消そうなんて、心の腐った連中とは違うって事だ。
ルナスの事は今までも尊敬していたが、俺は彼女の仲間を思う気持ちに感銘を受けていた。
そうだよな。
これまで命を預け合った仲間だ。
ちょっと不満があった程度で見捨てたりしないよな。
マシュア達の様な酷い人間もいるけれど、世の中まだまだ捨てたもんじゃないな!
「ふぅ、危なかった。奴等め、危うく私のリエルを失う所だったじゃないか」
ん……私の?
俺達は別に付き合っているとかないはずだが……。