46 近道な危険な森
「よし、では次に行くぞ。リエル、クマール」
「ああ、色々と買い込んで行かないとな。クマールは雑食って店主は言ってたから……ある程度は大丈夫だろう」
って事で俺は食料を買い込んで荷物袋に入れてっと。
「よし、準備は出来た。行こう」
食料と水、装備や地図以外に魔法結晶を荷物袋に入れて俺はルナスに言う。
念には念を傷薬や魔力を回復する薬も用意してある。
不測の事態は無いだろう。
俺とルナスの分だけで良いのだからもって行ける。
「さあ、次の依頼へ出発だ」
というわけで俺達は一路、国の辺境へと目指して移動したのだった。
「ふむ……目的地はここなんだが、近道をして行った方が早く行けるだろうな」
と、ルナスは地図を広げて俺に見せる。
どうやら目的地へ進むためには危険な森を抜けていくか、迂回して行くかがあるようだ。
確かこの森って結構危険な魔物が出現するとかで腕に覚えがある冒険者じゃないと安易に入らない。
商人や旅人は安易に足を踏み入れない場所だ。
近道の森を使えば……三日は時間を短縮出来る。
「安全な道を選ぶなら迂回路を使うのが無難だけど……」
「ヌマ?」
「私達は宮仕えの勇者パーティーだぞ。危険でも何でもないさ。それにオーガに苦しめられている人々の為にも早く行った方が良いだろう」
……腕に覚えがあるならこっちの道を使って行くのが早いか。
迷宮の33階まで行ける俺達なら無理って道のりでは無いのも事実。
ただ問題は途中に人里とか無い所だけど。
それとルナスの本音は出来るだけ早くオーガ軍団を倒して帰還したい、だろうしな。
別に大義名分を掲げなくてもいいよ。
「まあ、なんだかんだ迷宮でLvも上げてるし、ある程度はどうにかなるか」
森で迷うと言っても俺はレンジャーな訳で、相応に訓練もしている。
ルナスだって腕に覚えはあるから行けない事もないだろう。
「では出発だ。森に入ったら案内は任せる」
「はいはい」
「ヌマ!」
俺達はそうして危険な森を通過しようと進んで行く……すると森の中からタックルボアという突進をしてくる危険な猪の魔物が近づいて来るのを察知する。
「ヌマ!?」
お、クマールも接近に気づいている。
中々勘は悪くないな。俺と同じ把握持ちだから当然か。
ファーストスキルが把握だから俺より精度が高いか?
いや、さすがに現時点ではクマールよりLvもあるし熟練してるだろう。
「把握に引っかかった。タックルボアだ。3体いる。このままだとあっちが気づいてくるまでに1分ってところ」
「よしリエル、早速やるぞ。いつも通り死んだフリをしてくれ」




