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04 勇者の怒り

 ルセンの不快な笑みが鼻につく。


「ルセン、お前なら出来るとでも言うのか?」


 先ほどの戦闘でも魔物に襲い掛かられて冷や汗を流していた癖に。

 お前だって装備なしでここから生きて帰るなんて不可能だろ。


 にも関わらず装備なしで一人で帰れとか、どういった理屈だ。

 自分の手を汚さずに俺を殺したいだけとしか思えない。


「もちろん出来るに決まってるだろ? 俺は一流の、勇者の仲間なんだから。お前とは違うんだ」


 自身満々でルセンは言い切った。


「ね? ルナスだってそう思うでしょ? リエルがもう完全にお荷物になってるって!」


 マシュアは今まで黙っていたルナス、俺達のリーダーである勇者にそう尋ねた。


「そうか。君達はそういうことを考えていて、こんな事をしてしまうのか……」


 ルナスは俺達のリーダーで戦闘の要を担っている、冒険者学校で勇者と認定を受けた戦闘の万能職業者。

 年齢は20歳、無口だけどいざという時は勇猛果敢の俺達のリーダーだ。

 煌めくロングの髪が印象的で、顔は整っている。

 道行く人が振り返るほどの美形女勇者。

 それがルナスだ。 


 勇者とは戦士のように前に出て戦い、プリーストのように神聖魔法を覚え、魔法使いの様な攻撃魔法を使える。

 それに見合う強力なファーストスキルを所持していないと勇者見習いになることすら叶わない。


 生憎とルナスは口数が少ない人なのでそれなりに長く一緒にいるけど、よくわからない所も多い。

 けれど俺の事を気に掛けてくれたりして、優しく微笑みながらみんなの前に出るその姿は雄々しく、それでありながら頼りになる……淡い恋心を抱くくらいには絵になる人だ。


 しかし、それも幻想だったのだろう。

 なんせ彼女も俺を追い出す連中の仲間なんだから。


「……みんなの話は聞かせてもらった。私からも言わなければいけない事がある」


 おそらくは既に口裏を合わせていて、俺を追い出す算段が出来ているんだろう。

 と思ったのだが……彼女は目を閉じて、拳が震える程に握っていた。

 そしてルナスは目を開き、叫んだ。


「マシュア! ルセン! 貴様等、なんて身勝手な奴等なんだ! それなら私がリエルと一緒に行く! 君達とはここでお別れだ!」


「え?」


「はぁ!?」


 え?

 思わず俺もマシュアとルセンと同じ様な疑問符が浮かんでいた。


 ああ……どうやら彼女はマシュア達のあまりな言い分に怒っていたらしい。

 ルナスは寡黙だけどクールな印象を覚える女性だ。

 勇者らしいというのかな?

 その寡黙な所は神秘性の様な物すら抱かせる女性だ。

 そんな彼女が心の底から怒っているのがわかった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ルセンよ。できるというなら実際にやってみてくれ 口だけだろうがどうせ お前がやるなら俺もやってやるよ ・・・と返してくれ [一言] この小説のタイトルを見たとき、 絶対に主人公と勇者…
[一言] 勇者が主人公と同性だったら評価したんだけどなぁ 無理に男と女に分けてなろうテンプレに当て嵌めなくてもいいと思うの
[一言] これまで仲間だった者に 「邪魔になったから死んでくれ(意訳)」 なんていうのを聞いたら、第三者でもフツーは怒る。
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