38 出発準備
「となると人目に付かない所で俺が死んだフリをして勇者の怒りを発動って流れは一応出来るって事か」
「そうなるだろうな。もちろん多少は実験せねばならないだろうが、私が君を仲間と認識しているのだから大丈夫だろう」
勇者の怒りの対象に俺が組み込まれているのは当然ながらルナスの認識だ。
味方でも何でも無い相手が死んだって発動はしない。
しかし……今でも思うが本当、何かの冗談みたいな組み合わせだよな。
「なに、難しく考えなくても良い。今まで通りにやっていけば良いのだ」
俺は幾ら狙われない性質を持っている死人扱いになるといっても……マシュアの話だと死んだフリ中の棺桶って固いらしいから少しは平気なのか?
「では行こうか。リエル……出発の準備をしてくれ」
「あいよ。武器のメンテナンスは終わってる」
「さすがだな」
ルナスが王宮で国の役人達と話をしている間に剣などの武器や鎧などのメンテナンスは終わらせた。
応急的な奴だけど、まだ大丈夫だろう。
「後は目的地までの食料と……いざって時用の魔法結晶やスクロールを用意するか……」
現在の所持金から依頼で使う品々の購入費用を計算する。
今回の依頼を達成すればその分増える訳だし、出来るだけ万全な準備をしておきたい。
「そんな心配は無用だぞ。私と君の二人で行けば無敵なのだからな!」
「言うと思った。念には念をで用意しておきたいんだよ」
「用心深いな。いや、それだけ用心深く行動していたから私達は今ここにいるのだな。リエル、君とだけしっかりと話すようになる事でより作戦を深く練れるようになったな」
今まではマシュア達が色々とやりたい事を言ってから、そこから考えられる作戦を実行する感じだったもんな。
もちろん念には念をと用意した代物で被害を押さえ込めた事も多いが、逆に使わなかった物もあった。
というか、ルナスのマシュア達に対する評価は程々にしてほしいもんだ。
「出発のついでに色々と用意しておくけど……荷物袋は新調して、ブレイブオーガは……アースウォールの魔法結晶を用意していざって時に攻守に使えるようにするのが無難か」
数で挑まれる可能性も大いにある。
土の障壁を出すアースウォールの魔法結晶がここで役立つだろう。
分断は元より、相手の攻撃から身を守る事にも使えるし、逃げる相手の道を塞ぐ等の使い道は多い。
こう言った小手先を使う魔法をルナスは使えないから道具で補うのが良い。
もちろん使わずに済むならそれでいいんだ。
別の機会に使えば良いしな。
……俺も魔法の才能があれば良かったんだけどなぁ。
セカンドスキルにもサードスキルにも魔法が関わるスキルが無かったのでほぼ使えない。
ある意味、把握がそれに近いのかも知れないけど……な。




