33 勇者総合日間
評価、応援ありがとうございます。
「リエル!」
迷宮から戻り、王宮で報告をしたルナスが嬉々とした表情で待機していた俺の元にやってきた。
「喜べ! 依頼を達成した活躍によって勇者総合日間4位に躍り出る事が出来たぞ!」
「いや、何その順位……」
この王宮はどこまで競争意識を制度として取り入れているのか。
「私達が注目を受けているという事で間違い無いな」
ちなみに依頼内容は言うまでも無くエンシェントフリージングクイーンレオの討伐及び永久凍結花だ。
どちらも達成出来たのが評価点になったのかな?
「そりゃあすごいとは思うけど……」
「目指せ日間1位の偉業だぞ! そこまで行けば勇者として安泰だ! ただ、まだまだ私達は未熟なのだ……月間68位……もっとがんばらねばな!」
月間まであるのかよ。
というか結構順位があるんだな。
これも上には上がいるって事なのか。
それも勇者の怒りを駆使したらどこまで行けるのか……ルナスもその辺りが気になっていてテンションが上がっているんだろう。
「さて、では依頼の達成報酬の山分けだ! 受け取れぇい!」
ドサッとルナスが、なんて言うかどこかの親玉みたいな無造作な感じで俺に金袋を投げ渡す。
重さだけで結構な金額が入っているのがわかるけど……。
「だからなんでそんな演技掛かった感じで俺に渡すんだよ……」
今まで金銭の山分けをする時にそんな渡し方してなかっただろう。
もっと淡々としていたじゃないか。
金袋をテーブルに置いて中身を広げる。
うわ……凄い金額だなぁ。
挑んだ階層が階層だった訳だし、エンシェントフリージングクイーンレオの討伐と永久凍結花の納品だから当然なんだけどさ。
ついでにエンシェントフリージングクイーンレオの素材も色々と持ち帰ったので装備の強化も出来る。
強化してもらうのに時間が少し掛かるけどな。
って素材の使い道ではなく金銭の分け前か。
「約束通り6割は君に渡すぞ。しっかり確認してくれ」
「あ、ああ……」
積み上げられた金銭を並べてわかりやすく分けるんだけど……なんとも驚くべき量だ。
今まではマシュアとルセンに取られて俺の分はあまりなかったので、勇者の怒り戦法の時に話した契約通りとはいえ、並び立つ硬貨の量に思わず恐れ戦いてしまう。
これが依頼の報酬……。
単純に分け前が今までの三倍であり、報酬額が高額であるから眩暈がしそうな金銭だ。
死んだフリ戦法をする前、あれだけ汗水働いて稼いだ金銭に比べると悲しくなるほどの収益……喜びもあるけど虚無感もある。
俺は本当に死んだフリをしているだけでこんなに貰って良いのか?




