30 作戦不要
「目標の永久凍結花が燃えたり枯れたりする覚悟があるなら使っても良いんじゃないか?」
「おやおや、冗談が通じないとはな」
「今日は色々とあって疲れてるからな」
今まで苦楽を共にしていた元仲間達を屠ったんだ。
色々とドッと疲れが出るのもしょうがない。
死んだフリしてただけだけど。
「ふむ、戦いやすい環境作りに努めるのはリーダーの仕事だが、裏のリーダーは君だ。どこかで先に野営でもするかね?」
「いや……もうルナスのやりたいようにこの階層の依頼は達成すれば良いさ。33階層なら多分その方が上手く行く」
「それは助かる。ではサクッと行こう」
という事で……ブリザードマンモスやアイスサーベルタイガー等の凶悪な氷の魔物達を俺達は作業の如く屠って進んで行き……エンシェントフリージングクイーンレオが鎮座する巣を発見した。
その先に目当ての永久凍結花も見つけたぞ。
道中には罠や宝箱が無数にあり、俺も罠解除をしていった感じだ。
Lvが上がった影響か、俺も踏ん張りがきくようになったような気もする。
ライトニングスピードクロスボウという強力なクロスボウを発見したりもした。
問題は……死んだフリと勇者の怒り戦法の関係で全く使う機会は訪れないって所か。
「よし、では早めに片づけるとしよう。エンシェントフリージングクイーンレオを仕留めたら使えそうな部位は持って帰って次の挑戦に備えた装備を作ってもらおう」
「そうだな。ルナス用に剣なり防具を固めればより深い所に潜りやすくなるだろうし」
「うむ」
「さて……作戦を練ろうかと思ったんだけどな」
普段、こう言ったボスに挑む際はみんなで入念に作戦を練って挑む事になる。
今までは先に戦いやすい地形を組んだり罠を設置したり色々としてから行っていたんだけどさ。
ルセンに長時間詠唱がかかる魔法を唱えて貰ったり……遮蔽物を沢山用意したり。
それこそ見つけたクロスボウで罠を仕掛けたりな。
「考えて見ればこう言った作戦ではリエル、君と私の考えた作戦でいつも行動していたな」
「ああ、まあ……」
マシュアはともかく、ルセンは魔法を使って攻撃するからその場所を考えるくらいしかなかった。
誘導は俺の担当って感じで後は任せたって感じだったのは間違い無い。
いや、良いんだけど……今にして思うと適当だよな。
ルセンは……あれだ。
沢山の魔法を使えるって意味で賢者だったんだろう。
誰にだって得意不得意はあるからな……言える事は沢山あるけど、もうこの世に居ないんだから、コレ位にしておこう。
「エンシェントフリージングクイーンレオは周囲を凍てつかせる強力な氷の衣を纏っていて、それを周囲に放出して凍り付かせる厄介な攻撃を持っているそうだ」
仕事だったので目的の階層までのボスや魔物の情報に関して事前に仕入れてある。
過去にこの階層まで来た冒険者のメモとか調査記録とか色々とな。
「うむ」
「ただ……状況的に死んだフリ戦法で正面からどんな攻撃が来ても速攻で沈められるから、作戦は……」
「おいリエル、ここはしっかりと作戦を組んでおきながら、私の猛攻で作戦の意味が無くなるのがお約束じゃないのか?」




