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03 死んだフリ


 そう、俺のファーストスキルは『死んだフリ』という最低最悪なスキルだった。

 効果は死んだフリをする。

 ただそれだけだ。


 このスキルは、その場で倒れ、死んだ様に振る舞う事で魔物の意識がこちらに向かなくなる、なんて酷い物だ。

 もちろんこの死んだフリをしている間、俺が動く事は出来ない。

 実際に死んでいる人間と同じ様に、倒れたままだ。


 これまで強力な魔物に狙われて大けがをした際、このスキルを使う事が多かったのもマシュア達に不満を抱かせた理由なのはわかっている。


 ……ただ、最近マシュアが俺に回復魔法を使う頻度が少なくて自然と死んだフリの使用回数が増えていた。

 とはいえ、みんなの荷物を持ち、身軽な防具の俺が敵の攻撃を受ければその分、消耗が激しくなるんだ。

 ただでさえ活躍していない俺が敵の攻撃を受けて回復の道具を使うのは得策じゃない。


 そしてマシュアとルセンのファーストスキルは『光の導き』と『マジックブースト』という職業に適した能力だった。

 本人が言っていたので間違い無い。


 他にセカンドスキルとサードスキルがあるのだけどファーストスキル程、劇的な効果は無い。

 ちなみに俺のセカンドスキルは『把握』。

 周囲の気配や罠、物の状態などをある程度理解できる。


 サードスキルは『積載軽減』いろんな道具をバックパックに大量に入れても身軽に動ける。

 さらに速度も少し上がる。


 どちらかと言えばレンジャー向けの構成をしていたので俺はレンジャーになった。


 これ等のスキルを用いてみんなを支えてきたつもりだ。


 ……いや、言い訳は止そう。

 言いたい事は山の様にあるが、彼女達の言う通り、ここ最近俺が足手まといになっていたのは事実なんだから。

 けれど、一つだけ言わせてほしい。


「二人の言い分はわかった。けど、こんな所で言わなくても良いじゃないか」


「こんな所だからこそ言っているのよ! 一流だって言いたいんだったらここからでも生き残れるでしょ!」


 彼女は苦楽を共にした仲間に危険な迷宮内で装備を剥がして置き去りにすると死刑宣告に等しい暴論を言い放っているんだ。

 そんな暴論を言うのはおそらく……追い出された俺が何か得をしたりする事が許せないって考えから来ているのは想像に容易い。


 どう悪い噂を広めたとしても宮仕えになったパーティーに所属していた、というだけで箔が付く。

 それが影響して良い転職先を見つける可能性だってあるからな。


 今までやってこれた影響もあり、相応に実力も持っているつもりだ。

 これまでの戦いで得た強さが他の冒険者達よりも才能が無くても実力として表れてしまう。

 才能が無いと言ってもある程度の事は出来てしまうんだ。


 何より、これまで一緒にやってきた仲間を都合が悪くなったから追い出した、とマシュア達は言われたくないんだ。


 言ってしまえばマシュアは俺という存在が生きている事が許しがたいと思っているんだろう。

 でなければ、態々こんな孤立したら間違いなく死ぬ様な場所でこんな事を言うはずがない。


 そんなにも嫌われているとは思いもしなかった。

 だって装備とかのメンテナンスなんか色々と俺に任せっぱなしだったしな。

 ここまで腹黒いと本当にマシュアは神に仕えるプリーストなのか疑いたくなるぞ。


「というわけだ。リエル、お前ならここからでも地上まで一人で、荷物なしで帰れるだろ? もうお前の居場所はこのパーティーには無いんだよ!」


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― 新着の感想 ―
[一言] フェイクデスに周囲の探索に積載…自分に戦闘要員としての強みがない事を理解して立ち回れるし、その他の技能を伸ばして居る。 控え目に見ても有能ですな
[気になる点] 一話一話が短い上、変なタイミングでぶつ切りになっているのが申し訳ないですが正直気持ち悪いです 数話分を一話に纏め、もう少しキリの良いところで一話が終わるようにした方が読み心地が良くな…
[一言] いや俺は自分が一流とまでは言わないが、 一流でも裸同然で一人じゃ無理だろ じゃあそういうお前も同じことやってみろよ ・・・と言い返してくれ
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