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25 さよならがいっぱい

 煽られて激怒するルセンの横で笑っていたマシュアにルナスは顔を向ける。


「マシュア、君は一流の人材こそこの先で必要だと言っていたな」


「そうよ。だから賢く立ち回っているんじゃないの。ルナス、あなたも一流ではあるけど上には上がいるのよ。勇者ドラーク様のこの迷宮の到達深度は40階なのよ! 超一流の勇者パーティーに所属することこそが一流の証じゃない」


「そうかね? 私の目には彼らが超一流にはまるで見えないのだが?」


 確かに……言ってはなんだけど、勇者一行っていうよりは盗賊一味としか言い様がない。

 教養も無く、力だけで解決してきた一行って感じだ。

 宮仕えになったらもっと尊敬できる勇者がいると思ったんだけどな。


 理想が高く、潔癖で気高い……その点で言えばルナスは残念ではあるかもしれないが、誇りの高さは残されている。

 マシュア達がこんな事をしなければ一生黒い気持ちを隠すつもりだった位には、高潔な部分もある。


「君はリエルを三流と罵ったが、君は自分の実力を過大評価しすぎだ。上には上がいることを知ってほしかったよ。私からすると君こそ三流……ルセン共々な」


「な、なんですってええええ!? 私を侮辱したわね! 天罰を下してやるわ!」


 ルセンとマシュアの怒り顔が妙に印象に残る。

 俺が何を言ってもこんな顔にはならないだろう。

 もしかしてルナスは他人を挑発する才能とか、そういうのがあるのか?

 それとも、これが発言力の差って事なのかな?

 やはり俺は黙っていた方が上手く行くという推理は正しかったな。


「ここは国ではなく迷宮内。貴殿達の行いを隠すように、こちらの反抗もまた迷宮の闇が覆い隠す……では人間ではなく、知能無き獣同士の闘争を始めようではないか」


「は! 後悔したってこっちはやめるつもりはねえぞ!」


 っと、マシュアとルセンを含めたドラーク達一行は揃って武器をもって構える。


「マシュア、ルセン。例えこの様な最後だったとしても、私は君達との冒険の日々を生涯忘れないだろう。私にとってあの日々は今も尚、汚れ無く輝いている、素晴らしい日々だった」


「命乞いかしら? けど、もう遅いわよ!」


「フヒヒヒ……何を言った所ですぐに戦いは終わる。この俺を愚者と言った事を後悔させてやる!」


 ルナスが俺に合図を送る。

 はぁ……今回ばかりは出来る事をやっていくしかないよなぁ。

 死んだフリを発動させて俺は棺桶に収まる。


「あは! 何やってんのあいつ! 死んだフリしたって無駄だってのに! とはいえ自分の立場がわかってるのね。すぐに本物の棺桶にぶち込んでやるわ! だけどあの棺桶、無駄に硬いから面倒ね」


「フヒヒ、先にルナスを殺ってからゆっくりと嬲り殺しにしてやればいい。俺を愚者と言ったんだ。簡単に死ねると思うなよ」


 え? この棺桶、硬いのか?

 情報はありがたいがなんでマシュアがそんな事を知っているのかを聞きたい。

 いや、俺は幽体離脱状態なので話は出来ないが。


 後、ルセン。お前を愚者と言ったのはルナスだけだ。

 俺は何も言ってない。

 本当に何も言っていないぞ?

 なんで俺がルナスの暴言の報いを受けないといけないんだよ。


 コイツ等、俺に対して殺意が高すぎだろう。

 そんなに恨まれる様な事をした覚えは無いんだが……。


「もうすべてが遅い。ではさらばだ。『『『『メガ・ブレイズ』』』』」


 ブン! っと残像を纏ったルナスが炎の竜巻を発生させるメガブレイズをマシュア達に向けて放つ。

 しかも四連射だ。

 それは周囲を焼き尽くす程の炎の洪水の様だった。


「な――キャァ――」

「馬鹿な――くううう……ギャ――」


 一発目の炎の渦を耐えようとしたが、マシュアとルセンは耐えきれず、そのまま炎の渦の中で焼き焦がされて吹き飛ばされ、動かなくなった。


「な――くうううう」


 そんな炎の渦をドラーク一行は魔法障壁を出す魔法を即座に放って耐えようと試みるが高威力の広範囲メガ・ブレイズにより炎の奔流が止む頃には3人しか残されていなかった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 棺桶が固いことを知っている…。 まさかコイツ、死んだふりしてるときにとどめ刺そうとしてた?
[一言] まるで盗賊・・・つまり資源ですぞ
[一言] あっさり5人殺した~ それと死んだふり状態って、凄く硬いんだねぇ。 既に馬鹿聖女と賢者が実験済みかい
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