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02 ファーストスキル


 これまで専門の人には負けるけど迷宮とか人手が足りない所では貢献してきたつもりだ。

 俺自身が習得した所持量アップの技能で大きなリュックを俺は担いで一緒に行動している。

 この技能のお陰でみんなの荷物を持っても大して疲れずに着いてきているのだ。


 勇者であるルナスの仲間としてパーティーを組み、みんなが出来ない事を補うように、今まで俺は努力して隙間を埋めてきたつもりだ。

 元々料理も得意な方だったから野営する際にみんなが満足出来るように美味しく作っていた。


 俺の活躍……とは言わないけど、これまで俺達は様々な苦難を乗り越え、町を襲おうとする災害に匹敵するドラゴンなんかも力を合わせて倒した。

 まあ……俺は力及ばず途中で戦闘不能になり戦線から離れてしまったりもしたけれど、それでも今までやってきた。


 この功績を買われ、俺達は国が正式に宮抱えとして迎え入れられ一流の装備と資金提供を受けて活動出来るようになった一流パーティーとなったんだ。

 それを今になってこんな風に言わなくてもいいじゃないか。


「そんな誰でも出来る雑用はいらないの! 私達が今求めているのは一流の人材よ! アンタは二流所か三流も良い所でしょ!」


 いや、リーダーでもないのに一体何様だよ。

 自分が選ぶ立場で、排斥されないと心の底から思っていると言った顔でマシュアは俺に指さして詰め寄る。


 一緒に冒険を始めて……もう一年半くらいか。

 出会った頃のマシュアはもっと人当たりが良い人だったけれど、今のマシュアからはその頃の面影は微塵も感じられない。


「あのね、リエル。今までだったら見逃していたけどね。この領域になると一流の人材じゃないと何から何まで足りなくなってくるの。わからないの? あなたのファーストスキルからしてわからないはずないでしょ?」

「くっ……」


 痛い所を突いてくる。

 この世界の人間はみんなファーストスキルと呼ばれる才能の指針となるスキルを14歳頃に神殿で祈ると授かる。

 その授かったファーストスキルでみんな自らの将来を決める訳だ。


 このファーストスキルは他に努力して覚える技能よりも効果の倍率が高く、文字通り才能として判断出来る代物なのだ。

 もちろんファーストスキルに頼らず努力して人より秀でる事は出来なくはないのだが……一流の領域となると悲しいかな、差は歴然になる事が多い。


「プリーストのマシュアがこうも言うんだ。神も見ているという事だ。いいか、リエル。人はな、生まれた瞬間から選ばれた存在とそうでない存在がいるという事だ。そしてお前はこちら側ではない。ただ、それだけなんだ」


 とまるで自分は神に選ばれた存在かの様に告げるルセン。

 ルセンはまるで諭すかの様に、同情するかの様な口調で続ける。


「選ばれた存在でもないのに宮仕えの勇者パーティーに一時でも所属出来たんだ。ファーストスキルが『死んだフリ』のお前には良い思い出になっただろう? そろそろ潮時という事だ」


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― 新着の感想 ―
[一言] 一話一話が短すぎて読み辛い
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