140 念魔法
元々いた場所でも一族の恥さらしと家族に群れから追い出され、人間に捕まり長く店頭で売れずに檻の中にいて、不細工だ無能だと罵られて殺されそうになっていた所に俺と出会い、殆ど同じ力なのに諦めずにがんばっている。
そんな自分の分身みたいで、自分よりも凄い人に少しでも貢献して一緒に生きて行きたい。
ああ……そうだな。
俺はずっとクマールと一緒だぞ。
ただ、うん……敢えて思わせてくれ。
なんでそこまで俺はクマールの思っている事が分かる訳?
間違い無く俺の思い込みじゃないぞこれ。
フォーススキルのスキルスタックの所為か?
とは思うのだけど何だろう。
俺の感覚もマシュア達を倒した後から微妙に違うんだ。
「しかしクマールの方が先に開花するとはな。リエルもすぐに開花するだろう」
「いや……たぶん、何かスキルが開花してる様な気がする。さっきから感覚がおかしいんだ」
「リエルも開花したのか! 何かわかったのかね?」
「ちょっと待って……」
俺は自身のスキル構成を確認する。
ファーストスキル・死んだフリ。
セカンドスキル・把握。
サードスキル・積載軽減。
フォーススキル・念魔法。
「……念魔法ってスキルが開花したみたいだ。たぶん、これが感覚がおかしい原因だと思う」
何だろうか。
スキルを授かった時のような開放的な感覚があるのだけど馴れてしまった把握よりも何か周囲を感じて、且つ俺自身の内側から何かが溢れてくる気がする。
この感覚は……うん、開花するより少し前から湧いていて、今気付いた様な気がした。
「念魔法? こちらも余り聞かないスキル名であるな。魔法系スキルであるのはわかるのだが」
「俺も魔法に関してそこまで詳しくないからな……ただ、クマールの意識と言うか俺に伝えたいって意識が来て分かる感覚がするんだ」
試しにルナスやシュタインにクマールに感じた感覚を送り出してみよう。
コツンと何かが二人に当たる感じがする。
「む……?」
『気のせいか?』
「おや? 君が喋らないのに声が聞こえた気がするぞ?」
「え?」
っと俺が声を漏らした所でシュタインが腕を組んで納得したように頷く。
「ああ、おそらく意思を相手に伝えるとかが出来る属性の魔法だね。魔法系の授業をした際に学んだ覚えがあるよ。かなり最初期の魔法学、原初の魔術で存在が語られている魔法系統じゃないかな」
「それってどんな魔法系統なんだ?」
「具体的に言えば属性を介さない魔力だけで魔法を形にする魔法と言えば良いのかな……人の意思の力って事だね」
意思の力……俺の内側から出てくるこの力で何が出来るんだ?
恐る恐る俺は初めての感覚で出来る事を意識する。