表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/216

139 二つ目の棺桶


 ルナスが自身の体の変化を即座に感じて喜びの声を上げる。

 そりゃあそうだ。

 おそらくだが、俺とクマールの両方から勇者の怒りの効果を得られるだろうし。


 トントンとクマールに死んだフリを解除するように棺桶を軽く叩いて起こす。


「ヌマ……マー」


 ファーストスキルの死んだフリの感覚はまだ馴れないのかクマールはちょっとボケっとした感じで棺桶が消えて顔を上げる。


「素晴らしい。クマールがついに私を覚醒させられる程の死んだフリの極地に至ったという事だな」


「で、リエルはクマールが所持して居るファーストスキルの把握と同じ感覚になったって事だね」


「そういう事になる」


「ヌマ!」


「ものすごく限定的過ぎて他のスキルに酷く左右される。確かフォーススキルに開花した過去の冒険者にもいたはずな位のハズレ……」


 この事例の場合はセカンドスキルだったはず。

 ただ、フォーススキルに神聖剣を習得して、サードスキルに神聖剣を持った仲間達と連携して名を残したって話だった覚えがある。


 何せ大事なスキル枠の一つが埋まってしまい、実質二つのスキルで運用しないといけない様になる。

 同じスキル構成で且つ自身のサードスキルをファーストスキルに持ち、ファーストスキルをサードスキルに持つ人を見つけないと上手く運用出来ないんだ。


 この過去の冒険者の場合、神聖剣という強力なスキルがあったから条件を揃える事で強力になった。

 多くの場合、戦士とか兵士の様な、戦力を揃える場合に効果を発揮するんだ。

 逆にパーティーに一人居れば良い様なスキル構成でスキルスタックになった場合……ハズレスキル扱いとなる。


 そして一般的に俺とクマールの現在のスキル構成は……。


「だが、私達からすると非常に有用な大当たりスキルであるぞ! 何せ死んだフリ要員が増えるのだ」


「そうだね! 僕もこれで操れるゾンビが増えるよ!」


 つまり、そういう事である。

 この二人にとって最も喜ばしい展開になってしまったな。


「……クマール、俺やこの二人の事は気にしないで良いからな?」


 クマールに同情の感情が湧いてくる。

 だってやっとの事開花したフォーススキルがスキルスタックだぞ?

 幾らフォーススキル、ファーストスキル相当の力を持つ枠とはいえ、把握を同じ把握持ちにファーストスキル相当を与えるスキルでしか無いんだし。


 元々の構成が影響を受けるに過ぎない。

 かなり限定的なスキルなのは間違い無い。


 確かに把握持ちは探せばそこそこいるだろうけど……それでも器用貧乏の把握なんだ。

 なんて言うんだろうな……スキルの効果を引き上げる魔法とかアクセサリーに近い扱いとなってしまう。


「ヌマヌマ!」


 ぶんぶんとクマールは拒否するとばかりに頭を横に振ってから俺に、死んだフリがファーストスキルだと知った時のような尊敬の眼差しを向けてくれる。

 不思議とクマールが言いたい気持ちが俺にも伝わってくる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公って、何が何でも自分のスキルを評価しないなぁ クマールの把握は、熟練度が低いうちから隠れてたシュタインを見つけるほどだった。 熟練度がかなり高いけどセカンドだった主人公の把握スキルが、…
[一言] タイトルで吹いたw
[良い点] シナジーの妙。 [気になる点] ルナスとシュタインの能力向上にもなるのですか? リエルのフォーススキルも、発現しても、単体では微妙かハズレで、組み合わせ次第では大当たりってものとなる可…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ