138 重ねるスキル
「クマールがフォーススキルを開花させたみたいだ。スキルスタックってスキルが出てる」
「スキルスタックとな? それは一体どんなスキルだったか?」
ルナスが首を傾げている。
あまり有名なスキルではないのは確かだ。
「ルナスが喜ぶ結果になったようなもんだよ」
俺の言葉にルナスの目が怪しく光ったのを俺は見逃さなかったぞ。
「リエル知ってる? なんか聞いた覚えがあるんだけど、なんだっけ? なんかこのスキル持ちって似た構成の人と集まってパーティー組むって例を聞いた覚えがあるんだけど」
「俺もスキルを全部知っている訳じゃないけど覚えがある、かなり癖の強いスキルだ。スキルスタック、セカンドスキルに付いている人が大半で、自身のスキルと同じスキルを持つ仲間のサードスキルをセカンドスキルに押し上げる効果のあるスキルだ」
「ん? なんだかよくわからないぞ? どういう事だ?」
「例えばファーストスキルが戦士、セカンドスキルがスキルスタック、サードスキルが釣りの人が居たとする。この人の仲間にサードスキルが戦士の人がいた場合、スキルスタックの力で自身の戦士のスキルを重ねられる。セカンドスキル相当に」
「掛けてもらった相手はスキルで繋がっている間はサードスキルだったスキルがセカンドスキルになるって事さ」
ルナスがシュタインの補足を聞いてウンウンと頷いた。
よくわかっているのか?
「重ねるスキルって事だ。もちろんこのスキルで繋がった相手との連携が上手く行く様にもなるって効果もあるらしい」
「例がセカンドスキルというのはスキルスタックの能力相当になるという事なのだな」
「正解、で癖が強いっていう理由は、スキル構成がほぼ同じ相手が居ないと役に立たないって所と同様に掛けた相手のファーストスキルが自身のサードスキルをセカンドスキル相当に引き上げられる」
ここがちょっとややこしくて癖が強いスキルって点だな。
つまり同じスキル構成の仲間とスキルを重ね、一時的に秀でている部分を共有するって事だ。
技術的な部分は本来の使い手よりも劣るらしいけど、出力は同等に出来るそうだ。
「例で言うと掛けた相手のファーストスキルが釣り、サードスキルが戦士だと相互して両方得になるって事」
「スキルスタックを掛けた者は釣りがセカンドスキル相当になり、掛けられた者は戦士がセカンドスキル相当になる……で、クマールがフォーススキルにスキルスタックを覚え、ほぼ同じスキル構成の君に掛けたとすると……」
「クマール、死んだフリ」
「ヌマ!」
俺の指示に応じてクマールが死んだフリを行う。
するとクマールの体の周囲に棺桶が生成されて収まった。
「お、おお……クマールの死んだフリで私の勇者の怒りが発動したぞ!」




