134 無敵で蹂躙
「む?」
おい……何をする気だ?
「ほら、リエルが馬鹿にされっぱなしなのもルナスさんとしては腹立たしいでしょ? ならここはリエルが彼女達を倒せばこっちの怒りも収まるし、彼女達も身に染みて分かって消え去れるでしょ」
「ふむ……」
非常に嫌な予感がしてきた。
ちなみに俺は幽体離脱状態で、体はシュタインの後ろに黙って立っている。
「確かに私が魔法で一掃してしまってはこの因縁を満足した形で幕は下ろせそうに無いな。リエルにやってもらうのが良いか」
「はぁ? リエルが今の私達の相手をするですって! 笑わせてくれるじゃないの!」
「そうだ! 死んだフリをしているだけで甘い汁をすする無能自称レンジャーが俺達に勝てると思っているのか、フヒヒヒ!」
言い終わると同時に馬鹿にする笑いをするルセン。
お前等の中で俺はどれだけ無能なんだろうか?
ああ……先制攻撃とか出来たら脳天を一発で射貫いてやりたいような気がしてきた。
「よし、では私と少年は手を出さずに見ていてやろう。もちろんこっちに火の粉が来たら払うがな」
「そう来なくちゃ! リエル!」
「……ォオオ……」
っと俺の体がシュタインの命令を受けて動き始める。
「ふふん。飛んで火に入る雑魚が来たわ! ルナスったら大事にしてるみたいな事を言っていたのに私達と戦わせるなんて馬鹿じゃないの」
「リエル、お前は昔から気に入らなかったんだ。ルナスを誘惑して美味しいところを頂いた罪は重いぞ! 死んでも楽になれると思わない事だなフヒヒヒ! 惨たらしい目に会わせてやる!」
「誘惑して美味しい所を頂いて欲しいものだ。据え膳に手をつけないのでな」
困った困ったと言うルナス。
だからそういう所が駄目なんだぞ。
「本当、リエルの事をなーんにもわかってないようだね。報いを受けて消え去れ」
軽い調子の口調から殺意の籠った台詞をシュタインは言い放ち俺の体に攻撃を命じた。
「オオオオオ!」
っと俺の体が二倍速でイヴルスピリットのマシュアとルセンに向かって飛びかかり、力の限り殴りつける。
「ふふん! こんな奴、速攻で返り討ちに――ちょっ! 何よ! 私の攻撃をものともせずに突っ込んで、ギャアアア――!」
イヴルスピリットが闇の弾を放ちながら蠢く蔦みたいなモノで俺の体を殴りつけるのだが、俺の体はビクともせずに蔦を握りつぶして持たせていたクロスボウで連続射撃しながら近づいて行く。
そして力の限りマシュアの顔面を殴り飛ばし、反撃してくる蔦を握ってぶんぶんと振り回して引きちぎった所に追撃のひっかきを行う。




