133 集合体
「くっ……この程度で勝ったと思ったら大間違いだぞ」
「茶番はここまでよ。今日こそアンタ達をエリート様と一緒にぶち殺してやるわ!」
そう言ってマシュアが手を上げると背後に漂っていたエネルギーが集まって行き……さっきから感じて居た大物の気配が現われて具現化した!
「ォオオーー」
それは……無数の悪霊達が一カ所に集まったレギオンと呼ばれる類いの倒すのが厄介な集合体。
吐き気を催す人々の悪意の塊、無数の人間の上半身が集まった気色悪い魔物、イヴルスピリットレギオンだった。
「ほう……」
「おやおや」
ルナスとシュタインが出てきたイヴルスピリットレギオンの出現に声を漏らす。
「ヌマァ……」
クマールは相手の恐ろしさに尻尾が一度垂れたが闘志は失わないとばかりに睨み付けてくる。
「はあああああ!」
と、言いながらマシュアはイヴルスピリットレギオンの中に収まり、その主であるとばかりにこちらを睨む。
ルセンは……こちらを見下した表情で立って居るだけだ。
「どうだお前達? 俺達は力をつけてこんな化け物さえも作り出せたんだ!」
「オーホッホ! これが私の新たな力よ! アンタたちを全員、ぶち殺してやるわ!」
いや、なんて言うかマシュア……お前、死後の方が強くなるとか、とんでもない才能を持っていたんだな。
光の導き手ってスキルからどうしたらそんな化け物になれるんだ?
分離可能な様だけどさ。
「悪霊達が集合体となって生者を呪って暴れるって話をプリーストの授業で聞いたけど、なるほど、ここなら出現条件は満たせる訳だね」
「どうだ! ルナス! 強化状態にないお前では到底敵わないぞ! 怯えて逃げ惑うが良い! 今更後悔しても遅いぞ!」
ルセン、お前は? とは思ったけど幽体離脱状態なので俺は言う事は出来ない。
そしてお前も今更遅いと言うのか。
「何が来るかと思ったが、この程度で私達に勝とうとはな。後悔しても遅いのはお前達の方だぞ!」
ルナスもここで負けじと言い返してくるなー。
「僕の前にこんなの出してくるとか……」
シュタインが呆れている。
……シュタインって墓守スキル所持な訳で悪霊とかには強そうだよな。
というか、ルナスもハイホーリーファイアがあるから相性は良いはずだ。
「ではさっさと仕留めさせてもらうか」
「ルナスさんルナスさん」
シュタインが魔法を唱えようとしたルナスに向けて声を掛ける。
「なんだ少年?」
「彼らってさ、リエルが無能だって何度も言ってくるし、死んでも改めないなら身をもって教えてあげるのはどうかな?」




