124 壁画
そうして崖を登った先の、広くて風が吹雪いている所にブリザードデスシザーが潜んでいた訳だけど、勇者の怒り状態のルナスによるメガブレイズの二連射で、こんがりした焼き蟹へと変貌してしまったのは言うまでもない。
「あっさり倒したもんだなー……」
「本来だとブリザードデスシザーの甲殻って鎧とかに使えば中々良い強度の防具になるんだけど、今の僕たちからするともっと良い素材が入手出来るはずだから不要だね」
「少しは素材を持ち帰るけどな」
「リエル、ブリザードデスシザーの肉は食べられるのか?」
「えっと……食べた人の感想だとしっかりと焼くと弾力があって美味しいって話だけど……」
確かにこんがり焼けてしまっているな。
一部炭化するくらいに。
「ちょっと身を頂いて見るか」
バキッとルナスが剣を突き立ててブリザードデスシザーの甲殻を外して身を取り出し、豪快に食べる。
「ふむ……土臭かったり砂の味がするかと思ったが、食感は良いな。塩味が欲しくなる」
「ほい」
リュックから調味料の塩を入れた瓶を渡す。
「ここではすぐに冷めてしまうから手早く頂くぞ」
「ヌマー!」
と、ルナスとクマールがムシャムシャとブリザードデスシザーの肉を食べる。
「ヌマー!」
クマールは目をキラキラさせてブリザードデスシザーの肉を食べていた。
口に合ったっぽい?
というか運動してお腹が空いていたから食べるって感じだ。
「リエルと少年は食べないのか?」
「そこまで腹は減ってないし」
「そうだね」
「うむ……私とクマールだけ食べているのが恥ずかしいではないか! 男性陣も食べろ!」
なんかここでルナスが恥ずかしそうに言っている。
何を今更……食べられるのか聞いて食べたのはルナスだろうに。
「おほん……ともかく、次へ行くぞ」
「34階の強い魔物がこんなあっさり倒せちゃうとはねー。エンシェントフリージングクイーンレオも同様なんだろうね」
「間違いはないな」
って感じで俺達は34階をコツコツと回って道をマッピングしていった。
途中で氷に閉ざされた遺跡みたいな所を見つけたのでルナスに氷を溶かしてもらい、遺跡の調査を行った。
中には古代文字が書かれた壁画と、古代文字が刻まれたグリーブを見つけた。
「リエル、ここには何が書かれてるの?」
「えっと……また古代グレリス文字だ。エンシェントフリージングレオの観察記録と信仰が書かれていて、倒すための仕掛けがこの辺りにあるらしい」
その体躯は氷雪の山の如く、雄々しさを宿しながら氷の女王でありこの辺りを支配する者、みたいな感じで書き込まれている。
で、倒す方法というかこの辺りに設置してある仕掛けへと誘導する事でエンシェントフリージングレオの力を大幅に削ぐ事が出来るようだ。




