122 種族名スキル
「リエルが開花しそうなスキルか……強力なスキルに絞って考えるべきだな」
「料理人とか開花しても困るだろうしねー」
そんなの開花したらレンジャーでも考古学者でもなく料理人になってしまうだろう。
冒険者を引退する流れだぞ。
いや、多分この二人が引退させてくれないだろうけどさ。
「俺は普段からそんなに料理してる様に見えるのか?」
「僕は数年振りの幼馴染だからねぇ……けど野宿する際に助かる一芸って感じだよね」
「趣味ではあるが、それが原因で開花されたら困るな」
「うむ……今の私達からして助かりそうなスキルで、且つリエルに似合うというと私は調合系のスキル、理想は錬金術士などが開花してくれたら嬉しく思えるが、どうかな?」
錬金術師……当然の事ながら鉛を金に変えたという逸話のある職業だ。
俺も又聞きでしか知らないけど極めると確かに鉛を金に変えるなんて事が出来るらしい。
ただ、その労力に見合うかというと怪しいそうだけどな。
ついでに術士って所から魔法適性も程々にあって範囲が広い。
確かに俺に向いていると言えば向いているかも知れないな。
料理は錬金術に通じる所もあるし……う~ん、さすが勇者なのか?
的確と言えば的確だよな。
「開花したら良いな。把握と合わせて同じスキル持ちよりも、より道具の使い方が分かるようになるだろうし」
「ヌマ!」
「クマールはどんなスキルが開花するだろうな」
「使役魔は……役割や魔物名のスキルが優秀で高額取引されるな」
ああ……ファーストスキルで忠義とか連携以外で所持していると値段が跳ね上がる実用的なスキルだな。
猟犬とか統率とかな。
猛犬とかも職業的な感じで戦闘向けだな。
魔物名のスキルってクマールで例えるとタヌクマって種族名を冠するスキルって事だ。
その種族の特徴をファーストスキルだけで賄えてしまうので、その分、セカンドスキルとサードスキルが加算される感じだ。
まあタヌクマって種族名スキルがあるかはわからないけど。
「クマールは伸び伸びと育ってくれれば良いさ」
「ヌマ! ヌマヌマ!」
なんかクマールが俺の言葉に対してやる気を見せて駆け回っている。
やる気があるのは良い事だ。
仮に俺が良いスキルを開花しなくてもクマールが良いスキルを開花してくれれば嬉しい。
ほとんど同じスキル構成なんだ。
処分されそうになっていたのを見返してやりたいだろう。
「ともかく行こうではないか。まだまだ私達は伸びしろがあるのだ!」
という訳で34階を俺達はどんどん進んで行く……もちろん戦闘は行ってだけどな。




