117 鋼の絆
「まあ、そういうことにして置くよ。ルナスさんもわかるでしょ」
「そうだな。リエルを心配する必要は無い。問題があるなら私と少年が追い出すまでだ」
……なんか元も子も無い事を二人が言ってる。
新しく仲間を入れてもこの二人が追い出す宣言だ。
未来の新入りが可愛そうに思えてきた。
新しく入るのかわからないけどさ。
「私達の絆は永遠であり、鋼の絆で結ばれた間柄だ」
「何があろうと僕達のパーティーが解散なんてしないさ。義兄弟の契りでも交わす?」
どうしてこう……この二人の友情って言葉は軽く感じてしまうんだろうか。
「ヌッマ! ヌッマ!」
と、クマールがなんかムシャムシャとよく食べている。
そろそろ満腹じゃないのか?
「ヌマヌマ!」
で、食ったその場で体を鍛えているとばかりに腕立てっぽい事をしている……食ってすぐ運動すると体に良くないぞ?
筋肉の強化には良いらしいけどさ。
こうして食事の時間は過ぎて行ったのだった。
それから俺達は就寝した。
俺とクマールが把握のスキルを持っているし、シュタインは隠密持ちだ。
事前に魔物達を殲滅していたので夜襲を受ける事無く、十分に休む事が出来た。
「ヌマ……ヌマ……」
すやすやとクマールは安らかな寝息を立てている。今日は疲れたのだろう、クマールの体の関節がピキっと音を立てているようだ。
使役魔って筋肉痛とかになったりするんだろうか?
などと思いながら時間は過ぎていったのだった……。
野営後の……感覚として翌日。
俺達はそのまま33階層へと到着した。
前回と同じく氷結洞窟だ。
当然の事ながら息が白くなる程温度が低い。
「ヌマ……」
クマールも温度の低さに若干震えている。
「大丈夫か?」
「ヌマ!」
自前の毛皮がブワッと膨れている。
どうやらある程度大丈夫そうだ。
「さて、今回は特に依頼がある訳では無いから手加減せずに行けるな!」
「いや……本気で行って何をするんだよ」
氷結した洞窟といった階層で大きな部屋にはエンシェントフリージングクイーンレオが永久凍結花を守るようにいる場所だけどさ。
既に依頼は達成済みな訳で必要性は無いけど……ルナスの奴、もしかして寒いからって勇者の怒り状態のメガブレイズでこの階層を暖かくするとか言う気だろうか?
「もちろん、この階層で出会う魔物を全て屠って行くに決まっているであろう? 私達の目的はより深い階層なのだからな」
「そうだけど……」
「なんか面白そうな事をやらかしそうだね」
「シュタイン、ワクワクしない」
ルナスとシュタインって本当、会わせちゃいけない組み合わせなんだろうなってヒシヒシと感じる。




