111 悪魔肉
「がんばれよ」
「ヌマ! ヌッマヌマ!」
クマールもやる気を見せている。
もちろん戦闘中は死んだフリもしているけどやっぱりシュタインの死霊術は掛からなかった。
「それじゃ野営をしよう」
って事で32階の野営が出来そうな小部屋で野営の準備を行う。
魔物の襲撃は……無いだろう。
仮に出てきてもルナス達が即座に仕留める。
今ではそれくらいの状況だ。
マシュア達と潜っていた時が本当に嘘みたいな状況だよな……あれからどれくらい経ったっけ。
あんまり経っていないというのに遙か過去に感じてしまう。
「リエル、今日の食事はなんだ? キラーラビの肉は食べ頃か?」
「あれはもう少し寝かせて置いた方が熟成が進んで味が良くなるから、今夜は持ち込んだ干し肉を使った料理かな」
「グレーターデーモンの肉は使わないかい?」
「おい、聖職者」
ネクロマンサーとは言っても悪魔の肉を使うとかどうなんだ?
「ふむ……グレーターデーモンの肉か、美味いのか? リエル」
「……肉自体が人間には毒と呪い効果があって食べられるように加工するのに何重もの手間が掛かるだろうな。浄化の為に聖水を使ったら溶けるから遠回しに毒抜きと解呪をして……それでやっと食べられるようになるだろう。けど肉質はドラゴンと似てると思う」
ドラゴンの方が肉の調理は簡単な方かな。
毒がある場合は毒素がかなり強いけど入念に毒抜きして土に埋めて熟成させると食べれるようになる。
地方料理とかにある位で、癖はあるけど力強い味わいが特徴だ。
戦士系のスキル持ちはドラゴンの肉を食べることで力があがったりするそうだ。
「おお、聞いてみるものだな。少年、私のリエルの食材に対する知識はどうだ」
なんでここでルナスは謎の自慢をシュタインにしているんだ?
それとどさくさに紛れて私のってつけるな。
「いやーリエル、中々博識になったね。僕もそこまでは知らなかったよ。悪魔肉の調理方法なんてさ」
「把握持ちだし経験でな」
「なるほどねーリエルが料理を覚えるなんて、昔の事を思い出すと……覚えても不思議じゃないか」
「リエルの趣味は料理なのだぞ」
だからなんでルナスが誇らしげにシュタインに説明してるんだよ。
シュタインの方も俺が料理を覚える事に納得してるのはどうなんだ?
「墓守の魔法とかには腐敗を促進する魔法とかありそうに感じるけどどうなんだ?」
「生憎とそんな魔法は無いなー。料理系のスキル持ちなら使えそうだけど、猟師とかも一部使えるそうだけどね」
レンジャー系のスキルにある奴が猟師だ。




