110 楽しい魔物退治
「どちらにしても魔物は無限に湧いてくる。私達はただ倒して行くだけという事だな」
「まあね。あ、そこの曲がり角の先で三分後くらいに魔物と遭遇する。数は4体」
「よし、どんどんやっていくぞー!」
って形で32階層の掃除と呼べる位の狩りは終わり……32階では静寂が訪れた。
いや、本当……無限に出現するとは言っても再出現までの時間より早く魔物達を倒した所為で安全になってしまった。
「そろそろ33階に行くのも良いと思うけど、大分狩りをしたし一回野営を張ろうか」
「この辺りの判断はリエル、君に任せていたな。わかった」
「いやーここまで楽しい魔物退治なんて初めてだね。リエルゾンビも強いし戦闘もサクサク、これが楽しくないはずないね」
ルナスはともかくシュタインもどうなんだ?
後、極自然にリエルゾンビ言うな。
「シュタイン、魔力は大丈夫か? 死霊術って魔力を消費しそうだけど」
「ああ、それね。実は戦闘終了直前にルナスさんに回復魔法を掛けてもらってるんだけど、魔力も少し回復するから割と消耗無く済んでるんだ」
そういえば途中からルナスが戦闘が終わりそうになると回復魔法を使っていたっけ。
どうせ俺が死んだフリをすると魔力が回復するからって色々と魔法を使っていた。
もちろんルナスの言った通り回復魔法も強力になって、且つ広範囲の回復となる。
「魔力回復効果もあるのだ。どうだリエル! 私の回復魔法は!」
ドヤ! ってルナスが胸を張っている。
「物語とかだと仲間の死で覚醒した勇者が残された仲間の傷を癒やした際に戦う力まで回復するって展開があるよね」
「そんな効果まであるとか……」
「本来は仲間の死が引き金で起こる奇跡のスキルだからね。これくらいあっても不思議じゃないって事さ。だから消費を考えずに戦えるのさ」
俺が死んだフリをすることで乱用される奇跡……いつかこのツケを支払うなんて事が無い事を祈るばかりだ。
というかルナスだけでも戦えるんだからこの階層じゃ見てるだけでも良い場合もあるんだけどさ。
一応熟練度稼ぎでもあるのか?
なんだかんだルナスは余裕って感じだけど俺達よりもグレーターデーモンは格上の魔物だから技能の上昇は期待出来る。
「クマール、お前の把握はどうだ?」
「ヌマ? ヌマ!」
やってます! って感じでクマールは元気に答える。
俺も把握でいろんな物の仕組みとかを把握する訓練はしているし、今も常時展開している。
魔物も強いし、無意識下でもやっておくことでスキルの習熟が進んで行く……訳だけど、所詮は把握か。
一応、把握を俺は意識しているけど使っていく内に把握自体が成長したりする。
中級把握とか上級把握って感じで。
俺は現在、把握を駆使したお陰で上級把握だけど、それより先に至れるかはわからないな……それもセカンドスキルなんで精度の限界がある。
その点で言ったらクマールの方が把握は上になるだろう。
現にシュタインが隠れて付いてきていたのを僅かながらも感じ取っていた。